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近藤あやの『おうちでできる着物デビュー』 vol.6_襦袢て・・・?

襦袢、これってお着物初心者の方にはなかなかわかりにくいものではないでしょうか?

お着物の下に着ているけど、下着って訳ではないような・・・
でも、なんだか色んなバージョンがあるし。

そこでまず、襦袢とはなんぞや?と一言で説明しますと。

「肌着の上、着物(長着)の下で要はインナーの役割をするもの。
着物に直接汚れが付くのを防ぐもの。」

なんとポルトガル語のジバンが語源。

襦袢の語源には、フランシスコ・ザビエルといった宣教師達の来日と関係があるなんて説もあるんです。
この話の続きはまたの機会にでも・・・

では襦袢の種類を簡単にまとめてみますね。
お着物と重なる部分も多いのですが・・・

<長さの違い>・・・・・・・・・・・
■長 襦 袢
対丈(ついたけ)といって着ると足首迄の丁度の寸法にしたてられているもの。

■二部式襦袢
長着の襦袢を上下で分けてお仕立てしたもの。
上部を「半襦袢」といって身ごろは綿さらしで、袖は襦袢地になってるもの
=通称「うそつき」

<季節での違い>・・・・・・・・・・・
10月〜5月
■袷
裏地の付いている袷仕立ての襦袢

■袖無双銅抜き
生地は袷の時期と同じものなのですが、ちょっと暑がりの方、
また現代は空調が効いているところが多いので、
袷仕立ての襦袢に袷のお着物を重ねてきていると
暑くて汗ばんでしまうことが多々あります。
そこで、登場したのがこれ。胴の部分に裏地は無く(下図のブルーのところ)
袖は袷仕立て。
お着物を着てしまえば、襦袢は袖からちらりと見えるだけなので、涼しいけど、
ちゃんと袷を着てますよ〜ということになるお仕立てです。
今は袷よりこちらでお仕立てする人の方が多いようですね。
*無双:同じ生地で二重になっているものをいう。

6月/9月
■単衣
裏地のついていない単仕立ての襦袢
生地は袷用の襦袢地の他に揚柳などもオススメ。

7月〜8月
■単衣
やはり裏地は付けずにお仕立てしますが、
絽(絹)や麻、木綿などの季節に合わせた素材で作ります。

<衿の形の違い>・・・・・・・・・・・
■関西仕立て
今、一番一般的な仕立て方。
お着物と同じく、身ごろに衿を縫い付けているもの。
別衿仕立て」ともいいますが、これにはまた3種類の衿の形があって・・・

・撥(ばち)衿
衿先に向けて少し幅が広がるように折った状態で仕立てられているもの。
今は関西仕立ての撥衿のお仕立てが一番多いです。
浴衣の衿もこのお仕立てが多いのでイメージつくかしら?

・棒衿
衿の先までの幅がずっと変わらずに1本の棒のように仕立てるもの。
男性用や子供用のお着物はこれで仕立てることが多いです。

・広衿
普通のお着物がこのお仕立てになっているので想像付きやすいでしょうか?
衿の幅が太くなっていて、首のところで半分に折って着ます。
このお仕立てだと、衿幅の調節が出来るので、襦袢でもお着物でも、
体型に合わせて着付けが出来ます。

■関東仕立て
「通し衿仕立て」とも言いますが、衽(おくみ)という布を
省いてお仕立てしたもので衿が裾まで通じているもの。
今は、小柄な方やスリムな方、また男性用長襦袢に使われます。

<色柄の違い>・・・・・・・・・・・
■白(無地or 地紋)
留袖、色留袖、喪服といった礼装用

■薄色で柄が目立たないもの
訪問着や付け下げといった、准礼装に

■薄〜濃い色/無地系〜お洒落柄
小紋や紬といった普段着、ちょっとしたお出かけ着。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

盛りだくさんになってしまいましたけど、
こんなに種類があっては何のことやら??ですよね。

でも、私もこの中から色々試してみて、
自分の体型にぴったりで着やすい襦袢の形にたどり着きました。

じゃあ、初めて襦袢を手に入れるなら何が良いのか?

ファースト襦袢としての私のお薦めはコレ!

◇ 正絹の反物(お値段ピンキリなので色々探してみてください)
◇ 薄いピンクやブルーで地模様が入っているような反物
◇ 長襦袢/袷or袖無双胴抜仕立て/撥襟
◇ 自分サイズでお仕立て(お仕立て代は15000〜30000円くらい)

まずはこの一枚さえあれば、オールマイティに
どんなお着物も楽しんで頂けると思います。

*ポリエステルの襦袢:化繊のものはお手軽に手に入れることができますし、
洗濯機で洗うこともできるので便利なのですが、化繊はどうしても汗を
吸わないのでベトつきがち。冬は乾燥で静電気もおきます。
なので、なるべくなら正絹のものをおすすめします。

襦袢が綺麗に着られてないと、その上にいくら頑張って着物を着ても
綺麗に着れないくらい、襦袢が綺麗に着られれば、お着物は綺麗に着られる!
と言い切っても良い程、襦袢は大切な存在だと思っています。

襦袢を自分サイズに変えてから、とっても着付けが楽になったという方が
たくさんいらっしゃいますし、ほとんど見えないからといって、侮ってはなりません。

帯やお着物、外から見える帯締めのような小物に目を奪われがちですが、
まずは、襦袢を見直してみることが、着付け上達の近道になるかも。

◎おまけ:襦袢コレクション
今回のテーマにあわせて、私のかわいい襦袢達9点をお披露目。
大人しめな襦袢はお茶席の時に使っていますが、
カジュアルにお着物を着る時は、襦袢にも凝りたいもの。
なので、写真のように季節やお着物に合わせて、柄や色を変えて楽しんでいます。

勿論、お着物を着てしまえば、お袖からしか見えないので、
ほぼ自己満足の世界と言われてしまいそうなのですが、またそれも楽しいのです♪

 

<夏の訪問着のコーディネート>

この夏は友人のウェディングパーティーとおめでたい会が開かれました。
暑い季節ではありますが、ここはお着物の出番!

*着物・・・
絽の訪問着。孔雀の羽柄なのですが、ハート柄にも見えると思いませんか?
お祝いの気持ちを込めてお着物はこちらに決定。
*帯・・・
絽の袋帯。爽やかな生成り色の帯で、少し華やかにしたかったので文庫結びに。
*帯留・・・翡翠
*半襟・・・カジュアルなパーティーだったので、ビーズの半襟で涼しげに。

《これまでの記事》
●vol.1_きもの事始め
●vol.2_お着物、どうやって買う?
●vol.3_着物のサイズ
●vol.4_お着物の種類
●vol.5_浴衣の楽しみ方

この記事を書いた執筆者

近藤あや日本茶アンバサダー

近藤あや(こんどうあや)

遠州流茶道師範、着付け師。 祖母が一年中着物を着て過ごしていたことから、幼少より着物に親しむように。茶道や時代衣裳の勉強をしながら着物への理解を深め、撮影やブライダルの着付けで経験を積む。シンプルで楽な着付けをモットーに、ファッションの選択肢の一つとして着物を着てもらえるよう、着付けを教えるかたわらコーディネート相談や、帯のお仕立て等も行っている。