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近藤あやの『おうちでできる着物デビュー』 vol.3着物のサイズ

2016.06.10

反物から誂える時は別として、お着物を譲って頂いたり、仕立て上がりのお着物を手に入れる時に気になるのは、「サイズ」ですよね。

幸いにも私は小柄なので、小柄さんが多かったアンティーク着物も、親戚から派手になったからといって譲って頂けるお着物も難なく着ることができる、着物に関してはお得な体型なのですが、現代は背の高い方も、手の長い方も多いですよね。

気をつけないと、いざ着てみたら袖からニョキっと腕が出てしまったり、着丈が短くてお端折(おはしょり)が出来なかったりということになりかねません。

お洋服と違ってお着物はある程度余裕があるものなので、着付けの方法次第でも工夫できますが、許容範囲はいったいどのくらい?と思う方も多いのでは。

今日は、自分にとって大体どの位のサイズは許容範囲なのか? Myサイズを把握しながら考えていきましょう。

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

着物各部の呼び方

図に主な各部の名前を記載したので、この後はこれを参考にして、一番気をつけなければならないサイズを3カ所に絞ってお伝えします。


1.身丈
私が目処にしているのは、大体自分の身長。それ位あればおはしょりも出来ます。

身丈=自分の身長 or ±5cm

着付けの腕に自信がある方なら、腰紐を下目に結んでおはしょりで調整をすれば、±10cmでもギリギリ着こなせるのではないでしょうか。

本来、着物は裾の部分が汚れ易いので、お洗濯をして仕立て直す時等に、裾の部分をカットして綺麗に仕立てるというエコなファッション。よって、その際に多少短くなっても良いように長めに作って、おはしょりで調整をして着ていたのです。

とはいえ、おはしょりが無いのはNGなので、その分の余裕は見ておきましょう。

2.裄

裄は、上の図だと分かりにくいかもしれませんが、腕を45度に挙げて背中心(首の後ろのぐりぐり)〜手首のくるぶしまでの長さを言います。

裄=自分の裄or ±3cm

こちらの許容範囲の方が着丈より少ないんですね。

なぜならば、おはしょりのように調整が利きにくいから。

衿をいつもより気持ち抜いて着付けると、多少はマシになるのですが、大きくは変えられません。

私なんかは、どうしても小さいものを着なければならない時は、腕の動きは控えめに、肘を曲げ気味にしてカモフラージュすることもありますが、やはり短いものは短い(笑)

譲られたお着物でない限りは、あえてそのようなお着物には手を出さない方が良いと思っています。

3.前幅と後幅

これはお洋服で言うと、身幅にあたるところになります。

お着物の場合、身幅が狭いと、どうしても胸元が着崩れる原因になってしまいます。

特にアンティークのお着物を購入しようとしている方。昔の人の体型は痩せ形で胸も無い人が多かったようなので(昔の方、失礼)、チェックをしておいた方が良いです。

自分のヒップのサイズ(一番太いところ)=前幅+(後幅×2)+13cm

この数字に近ければまず大丈夫です。


今回、一律にサイズのお話をしましたが、実は時代によっても、お店によっても、採寸の仕方が多少異なります。センスの違いと言った方が良いでしょうか?

私の母は、私よりも7cmも背が高いのですが、裄は私にとってすら短いお仕立てのものがあります。(決して腕が短い訳ではなく(笑))昔は短めにお仕立てするのを好んだ人も多かったようです。

また、現代でも呉服屋さんによって、同じサイズ表を元に仕立てて頂いても裄が長かったり、身丈が長かったりと色々です。

それを学習してからは、染めの柔らかものは気持ちはんなりと着たいので、気持ち長めに。紬等の織の着物の時は、手首のくるぶしジャストで仕立てて頂くようにしています。

とはいえ、手持ちの小さめお着物を仕立て直すには、時間と労力と何よりお金が必要。

ゆ〜っくり時間をかけて、Myサイズに直していければと思っています。

ちなみに小さいお着物だからといって、絶対に駄目とは限りません。

お仕立て直しにも色んな工夫ポイントがあるので、可能性は残ってますよ。

これはまたの機会にお話ししますね。

最後に・・・

着物の寸法は通常「鯨尺」で表します。(単位:丈/尺/寸/分/厘)

ただ、最近は日常生活で馴染みが無くなってきているので、「cm」で表してくださっているお店も多いので、両方のサイズが分かっていると楽ですね。

1尺=約38cm 1寸=約4cm 1分=約4mm

 

 <バラの季節>
お着物の場合、洋花は季節を問わないとされているので、長い期間着ることができます。
でも、これから満開を迎える前に締めたいのが塩瀬のバラの帯。矢羽根柄の小紋は、実はとっても昔の反物。実家の片隅に眠っていたのを発見してお仕立てしてもらったものです。矢羽根柄というと、 時代劇や歌舞伎の腰元役とか、一昔前だと女学生が袴に合わせるイメージが強いかもしれませんが、これは大柄ではないので、主張しすぎることも無く、アンティークっぽくもならず、意外に重宝しています。

この記事を書いた執筆者

近藤 あや日本茶アンバサダー

近藤 あや(こんどう あや)

遠州流茶道師範、着付け師 祖母が一年中着物を着て過ごしていたことから、幼少より着物に親しむように。茶道や時代衣裳の勉強をしながら着物への理解を深め、撮影やブライダルの着付けで経験を積む。シンプルで楽な着付けをモットーに、ファッションの選択肢の一つとして着物を着てもらえるよう、着付けを教えるかたわらコーディネート相 談や、帯のお仕立て等も行っている。