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岐阜のお茶旅 vol.31(最終回)_総集編 美しい山々の茶畑に感謝を込めて

2020.01.17

 

清らかな新年を迎え、今年も美味しいお茶がいただける事に感謝の気持ちが満ちてゆきます。2年半の間、毎月「岐阜のお茶旅」を掲載させて頂きましたが、今回をもちましてこの旅を終了させて頂くことになりました。記事を読んでくださいました皆様、快く取材に応じて下さった皆様に心より感謝を申し上げます。

最後の「岐阜のお茶旅」は総集編としまして、旅の思い出を振り返り、岐阜のお茶の魅力を新たな心持で味わって頂きます。どうぞ、最後までお付き合いください。

 

 

『岐阜のブランド茶は美濃茶』
岐阜県産のお茶は美濃地方の中で西と東の二つの地域に分かれています。県西部(西濃地域)で生産される「美濃いび茶」と県中央部(中濃地域)で生産される「美濃白川茶」です。岐阜県産100%の茶葉を原料にしたお茶を「美濃茶」と位置づけしています。どちらの産地も中山間地域で、山々に囲まれ、川が流れ、清々しく、水と空気が美味しい地域です。
「美濃いび茶」と「美濃白川茶」どちらも美濃茶ですが、気候や標高など自然環境の違いからか、味に違いがあります。もちろん、製茶の方法もその土地によって違いがありますから当然のことです。その土地、その土地の味があって、それを感じる事ができるのは、とても楽しいことです。
室町時代から、または江戸時代から、お茶産地の古い歴史があり、物語があり、今も受け継ぎお茶を造る人がいる。
お茶を飲みながら、茶畑に吹く清らかな風、朝霧に濡れる瑞々しい茶葉の香り、お茶作りに情熱を注ぐ生産者の思いを感じる事ができれば、とても、素敵なことと思います。

 

 

『岐阜県中央部(中濃地域)に位置する白川茶の産地』
加茂郡東白川村は「日本で最も美しい村」連合で「美しい村」に認定され、未来に残したい地域資源として白川茶文化が登録されています。山々にすっぽりと囲まれた茶畑からは清らかに流れる白川を眺めることができます。

 

 

東白川村「新世紀工房 茶蔵園」の茶師 田口雅士さんです。東白川村のお茶の歴史、風土を大切にし、昔ながらの製法「萎凋」を用いたお茶の生産や白川茶発祥の地として残る在来種のお茶作りにも力を注いでいます。清々しくキレのある洗練された味わいの白川茶の魅力を丁寧に教えて下さいました。田口さんが淹れてくださるお茶はとても美味しく、所作も美しいです。

 

 

東白川村「五加茶生産組合」の栗本重秋さんです。五加地区では1999年から除草剤を含む全農薬を一切使わないお茶作りをしています。爽やかですっきりとした優しい味わいが印象に残りました。栗本さんは一日かけて、東白川村の絶景ポイントを案内して下さり、村の歴史や風土のお話を聞かせて下さいました。村に残る「ツチノコ」のお話、この村人のほとんどが神道を信仰していることなど、どのお話も興味深いものでした。

 

 

加茂郡白川町の「新田製茶」左側 社長の新田哲也さんと右側 専務の新田正樹さんです。1998年に新田製茶を設立しました。写真は2003年「第62回中日農業賞」を受賞した当時のものです。堆肥、有機肥料を主体とした土作りに力を注いでいます。毎日、美味しい白川茶をたくさんの人に味わってもらいたい。率直な願いが反映されたお茶です。お二人の奥様方が販売をサポートし、白川茶に愛情を注ぎアピールするお姿も心に残りました。

 

 

加茂郡白川町黒川地区 明治32年創業の「嶋田園」の藤井佐奈子さんです。嶋田園では昔ながらの製法「萎凋」を施した華やかな香りのお茶を作り続けています。夏の暑い日に取材を引き受けて下さり、冷たい水出しの煎茶を振る舞ってくださいました。萎凋がもたらすフローラルな香りは、一度飲んだら忘れられない風味です。

 

 

加茂郡白川町黒川地区 「和ごころ農園」の伊藤和徳さんと純子さんです。2010年からこの地で農業に携わるご夫婦です。管理ができなくなった茶畑を借りて2018年から薪火三年番茶を作っています。無農薬、無肥料の自然農法で作られたお茶は、大地の力強さを感じます。11月の茶畑には可愛らしいお茶の花がたくさん咲いていました。

 

 

『岐阜県西部(西濃)に位置するいび茶の産地』
揖斐郡揖斐川町春日六合にある上ヶ流(カミガレ)茶園です。「岐阜のマチュピチュ」と呼ばれる天空の茶園の素晴らしい景色は観光スポットとしても人気です。無農薬で栽培され、在来種の茶木も残ります。清々しく心地よいお茶の味わいに心が癒されます。

 

 

揖斐郡池田町の池田山の麓に広がる茶畑には、6世紀~7世紀初頭の古墳が点在します。

 

 

池田町にある「茶山正」の河村国保さんです。河村さんが手掛ける「茎 ほうじ茶 春かすみ」は日本茶AWARD(アワード)2017でファインプロダクト賞に輝きました。揖斐の在来種を使用した個性が光る煎茶も印象に残りました。清々しい香りは、池田山の美しい景色を思い起こさせます。

 

 

岐阜県南西端に位置し滋賀県と三重県に隣接する大垣市上石津町「平塚香貴園」の茶畑です。遠方には鈴鹿山脈が広がります。

 

 

平塚香貴園の平塚一さんと眞由美さんです。ご夫婦の二人三脚で茶園業を営んでします。眞由美さんは、茶育指導士、日本茶販売アドバイザー、岐阜県女性農業経営アドバイザーの認定を受け活躍しています。そして、日本茶アンバサダー5期生でもあります。この地にゆかりの戦国武将をモチーフに作られたお茶が印象に残りました。不破の関、壬申の乱、関ヶ原の歴史が残る上石津の美しい茶園です。

 

 

郡上市八幡町小那比地区の茶畑は、八幡町の人々が愛するお茶が収穫されます。

 

 

郡上市八幡町の「田中茶舗」の田中史月さんです。田中さんが焙煎するほうじ茶は、郡上八幡の名物です。小那比地区の一番茶を使用したほうじ茶は、昔ながらの撚りがかかり、香ばしい香りの中に味わいも深く、この町が誇る銘茶です。田中さんが話して下さった夏の「郡上おどり」の町の様子は活気と楽しさに溢れていました。

 

 

郡上市八幡町「カフェ 町屋さいとう」の齋藤家11代当主の齋藤仁司さんです。城下町の風情と茶道文化が残る郡上八幡の魅力あふれる和カフェでは、美味しいお抹茶を頂くことができます。江戸末期の狩野探信が描いた雲竜図の屏風を眺めながら、一服を頂きました。

 

 

岐阜市の昭和4年創業の「明治屋茶舗」3代目店主 藤森茂美さんです。平成13年度「第48回全国茶審査技術協議大会個人優勝」の実績を持ち、長年にわたり日本茶の素晴らしさを伝える活動をしています。いび茶の生産者との繋がりも深く、藤森さんが生産地に足を運び目利きし、ブレンド、再火を加えたお茶は洗練された優雅な味わいです。

 

 

土岐市にある「織部の里公園」にある国指定遺跡「元屋敷陶器窯跡 連房式登窯」です。
16世紀後半、畿内を中心とした「茶の湯」の流行の影響を受け「美濃桃山陶」の生産が盛んになりました。

 

 

土岐市美濃陶磁器歴史館では、元屋敷窯の出土品が展示されています。17世紀初頭の「黒織部茶碗」です。「織部」は千利休の弟子、古田織部がプロヂュースした茶碗です。志野茶碗もこの地で生まれ、桃山時代の茶の湯文化をリードした歴史が伺えます。伝統文化は引き継がれ、現在では美濃焼として陶工たちが、茶の湯にはかかせない素晴らしい茶碗を作陶しています。

 

 

白川茶、いび茶、そして美濃焼と日本茶に携わる生産者、茶舗、カフェ、遺跡を訪ねてまいりました。
この旅を終えて、岐阜のお茶の清々しい美味しさ、歴史、風土を知り、その一つ一つは、私の心の宝物となりました。そしてお茶に携わる、生き生きとした人達の生き方に触れることができ、多くの幸せを感じました。最後になりましたが、この機会を私に与えて下さった日本茶アンバサダー協会代表の満木葉子さんに深く感謝いたします。

 

 

《これまでの記事》
●vol.1_見渡せば、山、山、山。山の中の岐阜のお茶
●vol.2_清らかな山の恵み。美しい村、東白川村のお茶
●vol.3_美濃白川茶発祥の地に残る いにしえのお茶
●vol.4_東白川村 昔ながらの秋のお茶
●vol.5_東白川村 五加(ごか)地区の無農薬の茶畑で・・・・。
●vol.6_郡上八幡の人々が愛する美味しいほうじ茶 田中茶舗
●vol.7_宗祇水に導かれて・・・お抹茶処 宗祇庵
●vol.8_郡上八幡 第13回 小那比茶 茶摘み・茶もみ体験
●vol.9_美濃焼の旅 土岐市 織部の日のお茶会
●vol.10_西美濃に銘茶あり 美濃いび茶 茶山正
●vol.11_尾張名古屋のお抹茶ワールド お茶と抹茶スイーツの店 茶縁
●vol.12_岐阜のマチュピチュ 天空の茶畑
●vol.13_有楽苑 国宝茶室 如庵  愛知県犬山市
●vol.14_Barスタイルで夏の白川茶を楽しむ。 カガミガハラ・スタンドで東白川村のお茶イベント
●vol.15_清らかな山の緑風が香る白川茶 東白川村 茶広農園
●vol.16_天空の茶園で茶の実油の魅力を伝える 春日乃売茶翁
●vol.17_郡上八幡 城下町に栄えた茶道文化 町屋カフェ さいとう
●vol.18_名古屋栄のお抹茶専門店 茶々助 お抹茶を味わう日
●vol.19_近江茶の老舗 中川誠盛堂茶舗 日本最古の茶園のお茶が蘇る「日吉銘茶」
●vol.20_伊深の里から、新たな発信。日本茶と日本古典芸能の世界へ。茶霞(さか)O’carre(オキャレ)
●vol.21_伝統の美濃白川茶をスタイリッシュにアプローチ 美濃加茂茶舗
●vol.22_美味しい「いび茶」を求めて 岐阜市の老舗 明治屋茶舗
●vol.23_郡上の美味しいお茶と昔ながらのお団子を召し上がれ 団子茶屋郡上八幡
●vol.24_岐阜の南西端の美しい里山 美濃上石津茶 平塚香貴園
●vol.25_岐阜の銘茶 白川茶の里 白川町黒川
●vol.26_甘く華やぐお茶の香り 昔ながらの白川茶  嶋田園
●vol.27_チーズと日本茶が出会った日 国産ナチュラルチーズ博in NAGOYA
●vol.28_伝統から進化へ 洗練された新世代の白川茶 新田製茶
●vol.29_自然栽培から生まれる白川薪火三年番茶 和ごころ農園
●vol.30_ぶらり常滑 急須の里めぐり お気に入りの急須に出会う旅

この記事を書いた執筆者

平林典子日本茶アンバサダー

平林典子(ひらばやしのりこ)

「Lacue チーズ・お茶・ワイン」の教室を運営。セミナーやイベントを開催。煎茶道黄檗松風流師範。チーズプロフェッショナル(CPA認定)ソムリエ(JAS認定)中国茶インストラクター(ロ・ヴー認定)茶道の季節を愛でる思いを大切に、気軽に楽しく、美味しく、自由な発想でお茶を楽しむ教室やお茶会を開催しています。