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岐阜のお茶旅 vol.22_美味しい「いび茶」を求めて 岐阜市の老舗 明治屋茶舗

2019.04.17

 

JR岐阜駅の北口を出ると「黄金の信長像」が出迎えてくれます。織田信長は岐阜城下に「楽市楽座」を設け城下の経済を活性化させました。今も大工町、米屋町、竹屋町などの町の名前が残っています。「岐阜」は信長による命名とされています。「黄金の信長像」から金華橋通りを北へ5分ほど歩くと、昭和4年創業の「明治屋茶舗」があります。

 

 

明治屋茶舗3代目店主の藤森茂美さんです。藤森さんは平成13年度「第48回全国茶審査技術協議大会個人優勝」を受賞された輝かしい実績をお持ちです。日本茶インストラクターの資格も持ち、長年にわたり日本茶の素晴らしさを伝える活動をしています。
カルチャースクール、法人会、町づくり協議会などで日本茶講座の講師として活躍し、日本茶の文化、歴史、美味しいお茶の淹れ方など、様々な視点を持って、日本茶の普及に力を注いでいます。岐阜県産の美濃いび茶の生産者との繋がりも深く、藤森さんが生産地に足を運び、目利きした荒茶を仕入れ、ブレンド、再火を加え明治屋茶舗で販売しています。

 

 

桜が咲く頃の揖斐郡池田町の茶畑です。美濃いび茶は岐阜県西濃地域、揖斐郡揖斐川町や池田町が主な生産地です。地産地消として消費される「いび茶」は岐阜市周辺に住む人々にとっては、身近なお茶となります。歴史も古く、室町時代に池田町の茶園の記録が残っています。江戸時代には幕府御用番茶として納められたことにより美濃茶が誕生したと言われています。

藤森さんに「いび茶」の魅力をお尋ねしました。
東側の斜面に茶畑があります。朝日があたり、西日があたらない事により、日照時間が長すぎないことや、揖斐川の影響で土が肥沃であることから、お茶はまろやかで豊かな風味に仕上がります。気温が低いので茶の木が大きく成長することはありませんが、繊細で滋味深い味わいになります。

 

 

藤森さんに、明治屋茶舗こだわりの「いび茶」を淹れて頂きました。
シングルオリジンのかぶせ茶です。品種は「さえみどり」です。まろやかなうま味が心地よく、柔らかく、優しく感じる渋み。上品でさわやかな香りがします。
やぶきた種や、普段使いのリーズナブルなお茶、明治屋茶舗で焙煎するほうじ茶など、色々なタイプの「いび茶」が揃っています。
「いび茶」を知り尽くし、茶葉の品質や特徴を最大限に生かしたブレンドや再火を手掛ける藤森さんは、お客様のニーズや好みに合わせてお茶を提供しています。お値打ちな茶葉の再火は強めに、香ばしく仕上げます。上質な茶葉は本来の味わいを生かし、再火は弱めに仕上げます。

私にとっては「岐阜のお茶の先生」が藤森さんです。お茶についてわからないことがあったら藤森さんにお尋ねすれば大丈夫。客観的に理論的に説明して下さる事。長年にわたってのいび茶の生産者との繋がりと豊富な経験。そして、日本一の実力に輝いた鑑定技術。岐阜市のお茶を支える藤森さんの活躍が今後も楽しみです。

 

 

岐阜市内を盛り上げる、春の「道三まつり」と秋の「ぎふ信長まつり」では、歩行者天国となる若宮通で、岐阜市内のお茶屋さんが集まり、賑やかにお茶を販売しています。試飲もできるので、岐阜のお茶の味をいろいろ楽しむことができます。

 

 

今年、4月6日、7日に開催された「道三まつり」はお天気にも恵まれ、藤森さんが笑顔でお茶を販売していました。美味しい「いび茶」がお祭り価格でお値打ちになっています。岐阜のお祭りを楽しみながら、岐阜のお茶を味わえるのはとても嬉しい事です。

戦国武将ゆかりの地「岐阜」。岐阜市の金華山には岐阜城があります。そして、長良川の鵜飼。織田信長、徳川家康などの権力者にも守られた伝統ある鵜飼いです。日本唯一の御料鵜飼いとして皇室に保護されていることでも有名です。5月11日~10月15日まで毎夜行われています。岐阜市に立ち寄った時には、ぜひ、岐阜の美味しい「いび茶」を味わってみてください。

銘茶製造販売 株式会社 明治屋茶舗
岐阜市金町6丁目9

 

 

《これまでの記事》
●vol.1_見渡せば、山、山、山。山の中の岐阜のお茶
●vol.2_清らかな山の恵み。美しい村、東白川村のお茶
●vol.3_美濃白川茶発祥の地に残る いにしえのお茶
●vol.4_東白川村 昔ながらの秋のお茶
●vol.5_東白川村 五加(ごか)地区の無農薬の茶畑で・・・・。
●vol.6_郡上八幡の人々が愛する美味しいほうじ茶 田中茶舗
●vol.7_宗祇水に導かれて・・・お抹茶処 宗祇庵
●vol.8_郡上八幡 第13回 小那比茶 茶摘み・茶もみ体験
●vol.9_美濃焼の旅 土岐市 織部の日のお茶会
●vol.10_西美濃に銘茶あり 美濃いび茶 茶山正
●vol.11_尾張名古屋のお抹茶ワールド お茶と抹茶スイーツの店 茶縁
●vol.12_岐阜のマチュピチュ 天空の茶畑
●vol.13_有楽苑 国宝茶室 如庵  愛知県犬山市
●vol.14_Barスタイルで夏の白川茶を楽しむ。 カガミガハラ・スタンドで東白川村のお茶イベント
●vol.15_清らかな山の緑風が香る白川茶 東白川村 茶広農園
●vol.16_天空の茶園で茶の実油の魅力を伝える 春日乃売茶翁
●vol.17_郡上八幡 城下町に栄えた茶道文化 町屋カフェ さいとう
●vol18_名古屋栄のお抹茶専門店 茶々助 お抹茶を味わう日
●vol19_近江茶の老舗 中川誠盛堂茶舗 日本最古の茶園のお茶が蘇る「日吉銘茶」
●vol20_伊深の里から、新たな発信。日本茶と日本古典芸能の世界へ。茶霞(さか)O’carre(オキャレ)
●vol21_伝統の美濃白川茶をスタイリッシュにアプローチ 美濃加茂茶舗

この記事を書いた執筆者

平林典子日本茶アンバサダー

平林典子(ひらばやしのりこ)

「Lacue チーズ・お茶・ワイン」の教室を運営。セミナーやイベントを開催。煎茶道黄檗松風流師範。チーズプロフェッショナル(CPA認定)ソムリエ(JAS認定)中国茶インストラクター(ロ・ヴー認定)茶道の季節を愛でる思いを大切に、気軽に楽しく、美味しく、自由な発想でお茶を楽しむ教室やお茶会を開催しています。