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岐阜のお茶旅 vol.11_尾張名古屋のお抹茶ワールド お茶と抹茶スイーツの店 茶縁

2018.05.17

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うららかな春。岐阜県のお隣にある愛知県名古屋市へ、美味しいお茶を求めて旅をしてきました。今回は「愛知のお茶旅」です。愛知県名古屋市東区葵にある「お茶と抹茶スイーツの店 茶縁(ちゃえん)」をお訪ねしました。
知る人ぞ知る、愛知県西尾市は日本有数の抹茶の産地です。愛知県の中央部を北から南へ流れる矢作川流域の南端にあり温暖な気候です。「西尾の抹茶」は西尾市と安城市で生産され、抹茶の全国生産量の20%~30%を占めます。京都府に次ぐ生産量です。三河湾に面している西尾市は六万石の城下町として栄えたことから「三河の小京都」と呼ばれています。
「愛知県のお茶?抹茶?」と思われるかもしれませんが、全国的に抹茶の生産に特化した生産地は西尾だけです。「西尾の抹茶」は長年の生産者の伝統と技術が評価され、2017年3月に国の地理的表示(GI)保護制度に登録されました。抹茶としては初めての事です。今回、お訪ねした茶縁は、「西尾の抹茶」を存分に楽しめる素敵な日本茶カフェです。

3月の終わり、茶縁では「日本茶ワークショック お抹茶を点てよう」が開催されました。講師は茶縁のスタッフ、高澤友恵さんです。高澤さんは日本茶アドバイザーの資格を取得しています。

 

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「西尾の抹茶」が出来上がるまでのお話の後、石臼で引く前の茶葉、碾茶を淹れる高澤さんです。

 

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お抹茶の材料となる碾茶です。ふわふわと青のりのように軽いです。一般的に碾茶を急須で淹れて飲む事はありません。今回のワークショップでは、高澤さんが淹れて下さった碾茶を飲む事ができ、とても貴重な体験をさせて頂きました。玉露のように甘く、爽やかな渋みも感じられ、とても美味しかったです。

 

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抹茶の製造について学んだ後は、いよいよ、抹茶の点て方を学びます。まずは、お道具の扱い方から。茶筅の扱いは、初めての人には難しい事です。茶筅通しをしながら、シャカシャカと茶筅を回してみます。

 

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高澤さんが、お抹茶をきれいに点てるポイントを丁寧にレクチャーして下さいました。抹茶の分量やお湯の温度などもわかりやすい解説で、初心者でも安心して抹茶を点てることができます。高澤さんは茶道にも詳しく、お茶会でのマナーや、お道具の扱い方なども教えてくださいました。

 

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各自、抹茶が点て終わると、茶縁の美味しいお菓子が運ばれました。

 

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抹茶はもちろん「西尾の抹茶」です。お菓子は抹茶のチョコレートケーキ、ミニもなか、葵大福、春らしく桜の花が彩に添えられていました。茶縁は抹茶スイーツが大人気で、お菓子を楽しみに来店するお客様が多く見えます。この日のワークショップの参加者は若い方が多く、茶縁の抹茶スイーツの美味しさに感動して、抹茶に興味を抱いたことで、抹茶の美味しさに目覚めた人達でした。
茶道は敷居が高く感じ、抹茶から遠のいていた若い人たちが、気軽に抹茶スイーツのおいしさに触れたことで、そこで飲んだ抹茶や煎茶の美味しさに心惹かれる。そして、自分でも抹茶を点ててみたくなる。茶道の作法とは違う、レシピのようにわかりやすい点て方であれば、気軽に美味しく抹茶が楽しめます。

 

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茶縁の大人気 抹茶スイーツのセット1日50食限定の「抹茶七福神」です。抹茶づくしのスイーツです。どのスイーツも抹茶がたっぷりに使われ、濃厚で贅沢な味わいです。インスタ映えすることから、若い女性には人気が高く、休日は並ばないとお店に入れないこともあります。

 

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テラス席もあり、お天気が良い日には気持ち良くお茶の時間が楽しめそうです。

 

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茶縁の店長を務める伊藤由美子さん(左側)と日本茶ワークショップの講師を務めるスタッフの高澤友恵さん(右側)です。

茶縁は老舗お茶屋「みどりや茶舗」がオープンさせたカフェです。大正時代に三重県四日市に「みどりや茶舗」として創業し、昭和2年に現在の名古屋に移転しました。厳選した茶葉と挽きたての抹茶を提供しています。抹茶はもちろん西尾産の碾茶を自社で挽いて販売しています。挽きたての抹茶が購入できることは、とても嬉しいですね。カフェの茶縁は、平成21年にオープンしました。お茶屋さんが作る抹茶スイーツは、抹茶にこだわりが感じられ、使われる抹茶の量も多く、お菓子屋さんが作る抹茶スイーツとは一味違う抹茶の味を存分に楽しめる美味しさです。

 

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茶縁では、ほうじ茶、煎茶、健康茶、お茶道具の販売もしています。挽きたての「西尾の抹茶」も数種類あり、10gから量り売りで購入できます。愛知県では茶道も盛んで、特に本場の西尾市では気軽に抹茶を楽しめるスポットが多数あります。
「西尾の抹茶」の味わいは、マイルドで優しく、親しみやすい味わいです。抹茶の渋みが気になる方や、飲みなれていない方、お子様にはおすすめです。名古屋にお越しの際は、ぜひ、「西尾の抹茶」を味わってくださいませ。

 

お茶と抹茶スイーツの店 茶縁(ちゃえん)名古屋市東区葵2-9-5
http://www.chaen-cafe.com/
茶縁 みどりや茶舗
http://www.m-ocha.co.jp/hqgen/HPB/entries/8.html

 

《これまでの記事》
●vol.1_見渡せば、山、山、山。山の中の岐阜のお茶
●vol.2_清らかな山の恵み。美しい村、東白川村のお茶
●vol.3_美濃白川茶発祥の地に残る いにしえのお茶
●vol.4_東白川村 昔ながらの秋のお茶
●vol.5_東白川村 五加(ごか)地区の無農薬の茶畑で・・・・。
●vol.6_郡上八幡の人々が愛する美味しいほうじ茶 田中茶舗
●vol.7_宗祇水に導かれて・・・お抹茶処 宗祇庵
●vol.8_郡上八幡 第13回 小那比茶 茶摘み・茶もみ体験
●vol.9_美濃焼の旅 土岐市 織部の日のお茶会
●vol.10_西美濃に銘茶あり 美濃いび茶 茶山正

この記事を書いた執筆者

平林典子日本茶アンバサダー

平林典子(ひらばやしのりこ)

「Lacue チーズ・お茶・ワイン」の教室を運営。セミナーやイベントを開催。煎茶道黄檗松風流師範。チーズプロフェッショナル(CPA認定)ソムリエ(JAS認定)中国茶インストラクター(ロ・ヴー認定)茶道の季節を愛でる思いを大切に、気軽に楽しく、美味しく、自由な発想でお茶を楽しむ教室やお茶会を開催しています。