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元祖国産燻製茶カネロク松本園3代目奮闘記 vol.32 令和もカネロク松本園を宜しくお願いいたします。

2019.08.15

こんにちは。カネロク松本園の松本です。
お茶時期があんまり忙しすぎて久しぶりの寄稿になってしまいました。
4月末からの一番茶、6月頭からの二番茶と今年も駆け抜けるように日々を過ごしました。
途中で年号も変わったりもしましたが茶業界も歴史が変わるのではというほどの厳しい値動きの年になりました。
天気にふりまわされる年でもありました。一番茶では霜の被害も少しありましたが地域によっては雹に新芽を潰されてしまった産地もあったようです。二番茶は晴れが続きましたが気温があがらず芽伸びがあまり進まずに苦労しました。小さな芽を収穫すれば良い製品ができますが収穫量が少ないのは経営上かなり痛手になりました。
カネロク松本園では緑茶だけでなく紅茶・無農薬紅茶の生産も行い、茶園の管理作業も並行して進めていくのは本当に大変です。
いまは家族経営で約7haという面積を管理していますが、これから人を雇って面積を拡大するのか家族経営のままで面積を縮小するしかないのか考えさせられる年でもありました。
大きな共同工場でも若い担い手がお茶をリタイアして別の作物を作り始めたり全くの異業種に転職する人が増加しています。ただでさえ高齢化のはげしい茶業界で若手のこういった動きが今後もつづけば日本茶そのものの存続にかかわる問題です。
大手ドリンクメーカーはすでに海外に茶園を持っている企業もいくつかあります。日本のみなさんが飲むペットボトル茶の原料も今後海外産の原料に代わっていってしまうかもしれません。
日本の農業界全般で似たようなものはいくつもあるのかもしれませんが茶業界の現状を知ってもらい応援してくれる方が増えていけばいいなと思います。

さて今年の新茶シーズンも終わりましたが今年もいろいろなチャレンジを行いました。
本格的な緑茶や紅茶もまだまだチャレンジして改善していくところは多々あるのですがちょっと特殊なものをご紹介します。
日本茶の代表的な品種に“やぶきた“というものがありますがその畑の中に稀に白い葉っぱの芽ができることがあります。原因はよくわかっておらず突然変異的なものらいしいです。

 

 

自然にできた白葉茶です。成分的にはアミノ酸が高く旨味が強いと言われています。
これを手摘みで集めて釜炒り茶にしました。
まるでマリーゴールドのような茶葉に仕上がりました。

 

 

 

 

もうひとつ特殊なもの。
最近はタピオカミルクティーのお店が乱立しどこも行列になっているということですがあんまり興味がありません。
ですが中国や香港などでは白茶がブームらしくそちらはお茶の作り手としてはちょっと興味がありました。
白茶というのは緑茶・紅茶・青茶(烏龍)・黄茶・黒茶(プーアル)というお茶の製法の種類のひとつです。

 

 

 

 

 

なにが大変かというと収穫時に新芽の先だけを採ることが超大変です。
白豪銀針という白茶がありますが葉ではなく芯の部分だけを収穫したりします。
色はあんまり出ませんが上品な味と香りをたのしむお茶です。
そんなお茶のあらたな世界にチャレンジしていくとますますお茶が好きになっていくんです。自分はひとよりものづくり魂が強いような気がします。
定番の緑茶の技術ももっともっと上げていきたいしカネロクのお茶が飲んだ方に期待以上のものを伝えられるように努力を続けたいと思います。

小学校二年生になった長男もお茶刈りを手伝ってくれたり、忙しくて身体がしんどいけどそれだけじゃないのがありがたいし幸せです。

 

 

 

夏のお茶刈りも秋のお茶刈りもまだありますがひとまずひと段落ということでこれから来年にむけての茶園管理とイベント出展など頑張っていきたいと思います。
みなさまこれからもカネロク松本園の応援を宜しくお願いいたします!

 

 

《これまでの記事》
●vol.1 ごあいさつ
●vol.2 日本の世界農業遺産を知ってほしい
●vol.3 伝統の次は革新?日本初・国産燻製茶の誕生
●vol.4 日本茶を世界に!和紅茶編
●vol.5 よい茶葉との付き合い方
●vol.6 香港SOGO百貨店催事へ
●vol.7 東急ザロイヤルエクスプレスに燻製紅茶
●vol.8 「2017新茶」
●vol.9 新茶製造。まもなく二番茶。
●vol.10 いよいよはしるよ観光列車
●vol.11 機械はちいさく志は大きく
●vol.12 ウイスキーの雑誌に掲載されました
●vol.13 世界緑茶コンテスト入賞
●vol.14 ボンジュールパリジェンヌ
●vol.15 パリ後半戦とウィスキーフェス!
●vol.16 年男松本。今年もよろしくお願いいたします。
●vol.17 笑顔も苦手。喋りも苦手でごめんなさい。
●vol.18 お茶が早く揉みたくなってきました
●vol.19 世界で最も緑茶を愛する街、島田市
●vol.20 ワッショイ八十八夜
●vol.21 二番茶開始!お茶仕事の合間にアンバサダーな活動も!
●vol.22 6月は茶畑にひきこもり
●vol.23 祝ロイヤルエクスプレス1周年!パリでは3連単!
●vol.24 星付き茶農家になりました
●vol.25 旅ラジ出演!にこやかに喋れるキャラになりたい。
●vol.26 茶器にもこだわるとさらにお茶が楽しく嬉しくなりますよ
●vol.27 洋行帰り松本
●vol.28 インフルにまけんなヨ!
●vol.29 老後は能登に住みたい
●vol.30 カネロクアンバサダーがほしい
●vol.31新茶買ってね♡

この記事を書いた執筆者

松本浩毅日本茶アンバサダー

松本浩毅(まつもとひろき)

静岡県の専業茶農家カネロク松本園の長男に生まれ、幼い頃から跡継ぎとして育てられる。静岡県の農林大学校茶業科を卒業し22歳の頃に就農、現在34歳。専門家でなくとも飲めば特別だとわかるオリジナルなお茶を作りたいとの想いから、国内には存在しなかった茶葉を燻製にする製法を独自に研究開発。日本の世界農業遺産の周知にも力を注いでいる。島田市農業経営振興会、静岡県青年農業士、日本農業青年経営会に所属。
カネロク松本園HP:http://www.saumi-tea.com