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元祖国産燻製茶カネロク松本園3代目奮闘記 vol.8 「2017新茶」

2017.05.04

こんにちは。カネロク松本園の松本浩毅です。
2017年の新茶が始まりました!
今年は桜の開花も遅くなりましたがお茶の新芽ものんびりとした成長をしています。
例年ですと私の地域は四月の20日過ぎに新茶を開始するのですがだいたい一週間ほどの遅れです。
遅くなることはお茶の樹には悪いことでありません。霜の害にあたらないこともあり製品的にもみる芽(柔らかな芽)で収穫ができ美味しいお茶ができます。
ただ新茶シーズンの市場相場としては「早い方が高値」なんです。。
みんな新茶を早く飲みたいからですね(。-∀-。)
上の写真はやぶきたの品種4月24日ころの写真です。ここから約一週間ほどで収穫時期をむかえます。

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農作物すべてそうですが品種によっても随分と生育状態に差が出ます。
日本茶の場合はやぶきたというメジャーな品種を基本としてそこから早ければ早生品種、遅ければ晩生品種という呼び方があります。
カネロク松本園には品種もたくさんあります。
早生品種では山の伊吹、さきみどり、さえみどり、おおいわせなど。
他にはさやまかおり、かなやみどり、Z1などがあります。
お茶の品種といっても実は数百種類の品種があるので品種マニアになるのも面白いかもしれませんね。

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先ほど書きましたが「早い方が高値」の新茶市場のため早生品種が重宝されがちな茶業界ですが品種の味の違い、香りの違いにこだわると市場に出回る品種だけでない楽しさがありますよ。

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頃合いまで成長した茶葉を畑で摘採し、新鮮なうちに工場に運びます。
工場ではまず生葉を蒸して、そこから揉み込みながら乾燥していくのですが煎茶の基本的な出来としては蒸しの段階で決まってしまいます。
浅く蒸して針のような形状のお茶に揉みあげるのか、長く蒸してトロッと濃い深蒸し茶にするのか。
カネロク松本園の煎茶の蒸し加減は浅蒸し茶と深蒸し茶のあいだの中蒸し煎茶です。
香りよく色も、もちろん味もバランスをよく仕上げるのが難しく、また面白いところでもあります。

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こちらが蒸した直後のお茶の葉です。
もう美味しそうです。笑
お茶の製造中の香りでは三種類のとてもいい香りがありますが、ひとつはこの蒸仕上げた時点での香り。あとのふたつは焙煎時の香りと、発酵茶を作るときの萎凋の香りです。
この三種類の香りは袋に詰めてお客様に届けられたらといつも思います。

このお茶っ葉が最後のほうの工程ではこうなるのです。不思議ですよね。
お茶揉みは難しいけど面白いんですよ(σ゚∀゚)σ
美味しいお茶を頑張って作ります。
一番茶の製造が終了するまで怪我も故障もなく進むことを祈ってください!
ではまた次回(´・д・`)ノシ

 

《これまでの記事》
●vol.1 ごあいさつ
●vol.2 日本の世界農業遺産を知ってほしい
●vol.3 伝統の次は革新?日本初・国産燻製茶の誕生
●vol.4 日本茶を世界に!和紅茶編
●vol.5 よい茶葉との付き合い方
●vol.6 香港SOGO百貨店催事へ
●vol.7 東急ザロイヤルエクスプレスに燻製紅茶

この記事を書いた執筆者

松本 浩毅

松本 浩毅(まつもとひろき)

静岡県の専業茶農家カネロク松本園の長男に生まれ、幼い頃から跡継ぎとして育てられる。静岡県の農林大学校茶業科を卒業し22歳の頃に就農、現在34歳。専門家でなくとも飲めば特別だとわかるオリジナルなお茶を作りたいとの想いから、国内には存在しなかった茶葉を燻製にする製法を独自に研究開発。日本の世界農業遺産の周知にも力を注いでいる。島田市農業経営振興会、静岡県青年農業士、日本農業青年経営会に所属。
カネロク松本園HP:http://www.saumi-tea.com