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おごじょ茶ん日記 vol.1

2015.08.10

写真(1)

2003年夏。
「彼のいる鹿児島へ花嫁修業に行かせてください」
鹿児島で茶農家を営む彼との遠距離恋愛に終止符を打つため、ありったけの勇気をふりしぼって両親に頭を下げました。

「どうせすぐ戻ってくるんだからやってごらん!」
「え・・・?」

なんとおおらかな両親。わたしが驚きました(笑)。

ということで、転機です!栃木からはるばる鹿児島へ。
そして彼の家族への初めての挨拶。
口から心臓が飛び出るくらい緊張して、カチンコチン。

この時初めて「東八重家の茶」を口に。衝撃がはしりました!
なんて美味しいのー!!!
一気に緊張がほぐれました。

けど、「綺麗な緑色!抹茶入りですか?」と聞いてしまうほど、お茶に関してはド素人。さぁ~どうしましょう。

彼と相談。頭で悩むより経験だ!と覚悟を固めました。そして翌朝さっそく実行に移しました。

「同居させてください!宜しくお願いします!」

おばあちゃんも、お父さんも、お母さんも、わたしの覚悟を知らず、しばらく遊びに来ただけだろうと思っていたので、目を丸くしてたけど、「よかよか~宜しくね」って。
一歩踏み出せたことが嬉しくて仕方ありませんでした。

最初の仕事は、お茶の幼木を植えること。
広々とした畑に、一本一本丁寧に手で茶を植える作業は、自分が命の循環を繋いでいるよう。そんな不思議な感覚に気持ちが高揚し、すっかり夢中に。
ふと気が付くと、木陰で横になっていました(!)
暑さも忘れて作業に没頭していたら気分が悪くなり・・・パタッと倒れたのだそうです。

写真(2)
「少しずつ、気候や、仕事に慣れていこうね」
夕ごはんの席で、お父さんが頑張ったご褒美にと差しだしてくれた麦酒。
ほっとし、家族の温かさに、涙がとまりませんでした。

今日のことを忘れないように、私もこの幼木のように、ここにしっかり根ついていきたい!お茶を育てることに本気で向き合っていきたい!

「幼木を庭に植えていいかな?」

翌朝涼しいうちに、部屋の窓から見える場所に幼木を植えました。
ここから始める頑張りへの決意を何か形にしたかったのです。

「一緒に励まし合って、強くなろうね」
鹿児島で初めての心の友ができました。

かおり1年生。茶樹1年生。

この記事を書いた執筆者

東八重香織

東八重香織(とうばえ かおり)

栃木で生まれ育ち、縁あって、鹿児島の茶農家の跡取りと結婚。2003年から鹿児島在住。「鹿児島茶」にすっかり魅了され、鹿児島茶を広めると共に、日本茶の魅力を幅広い世代に伝えたく、オーソドックスな日本茶以外に紅茶、烏龍茶など新商品の開発にも力を入れています。世界遺産仙巌園と商品開発した「武士の紅茶」が注目を浴びるなど、少しずつ前進しています。「おいしいね」とたくさんに方にいっていただけるよう、精進していきたいと思います。