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農業女子プロジェクトコラボエッセイ~島根県扇原茶園 佐々木京子さん~vol.1

2015.08.10

写真(1)
はじめまして、島根県扇原茶園の佐々木京子です。
わたしはパートナーがお茶農家の後継者だったため、結婚と同時に農業を手伝い始めました。こちらのエッセイを通じて、島根のお茶の素晴らしさや、お茶を使ったお料理など、お茶に親しんでいただけるような情報をお伝えしたいと思います。

第1回は扇原茶園とわたしの自己紹介をさせていただきます。

扇原茶園の創業者は佐々木正人。
昭和23年、市の奨励で茶の栽培を始めました。
田橋・横山地区で茶生産組合を結成。
しかし地区に加工施設がなかったこと、販路も十分でなかったことから、組合は自然消滅。

昭和三十一年。
新たに十五戸が集まり、美川茶生産組合が発足。
横山地区の傾斜地二ヘクタールで栽培をはじめましたが、生産量が少なく、経営的に行き詰まり三十八年解散。

二度の失敗。

そして昭和四十年。
今度は一人で、三度目の茶栽培に乗り出しました。

本家の屋号だった「大木原(おおぎわら)」をもじって、末広がりの「扇」を使い、
「扇原(せんばら)茶園」と命名しました。

田橋地区の山林を買い開墾。
その後、三年ごとに面積を拡大。
現在は栽培面積七ヘクタールとなっています。
昭和五十年には荒茶工場を建てました。

こうして生まれた「扇原茶園」は今年で創業50年。
あきらめない心が作ったお茶をぜひご賞味いただきたいです!

そんな扇原茶園に嫁いだわたしの仕事内容と最近の活動をご紹介。

現在では経理と商品開発を主に担当。
市内の小中学校の給食にお茶を食材として使って頂いているご縁で、小学校への訪問授業(お茶栽培のお話など)もさせて頂いております。

また、茶園ではお茶に親しんで頂けるよう様々な体験プログラムを取り入れております。
地元の保育園児〜中学生までの遠足の受け入れもしており、これまでにお茶料理の体験(お茶団子、お茶ピザ等)やお茶摘み体験などをしました。

一般の方を対象としたお茶料理の体験会も予約制で開いています。
メニューの例として・・お茶うどん、お茶パスタ、お茶ピザ(手作りの石窯で焼き上げます!)等があります。

毎年ゴールデンウィークには、「春のお茶を楽しむ会」を1日だけ開催。
新芽の薫る中、早乙女姿でのお茶摘み体験やお茶畑の中にあるお茶室でお抹茶体験、その他お茶料理体験などなどお茶づくしのイベントです。

先日は東京で「扇原茶園のお茶を使った料理教室」を開いていただき、日本茶の淹れ方の講師として参加させて頂きました。

国産・地元の素材にこだわった、体に優しいお菓子の製造・販売もしています。
冬季限定の羊羹(煎茶、ほうじ茶、干し柿)やかりんとう(煎茶、ほうじ茶)、煎茶チーズケーキ、があり今後も種類を増やしていく予定です。手作りのため量産は出来ませんが、最近では直接ご予約を頂けるようになり、リピーターのお客様も増えて嬉しく思っております。
お菓子を通じて広い世代の方にもっと日本茶を身近に感じて頂けるようがんばってまいります。

この記事を書いた執筆者

佐々木京子

佐々木京子(ささき きょうこ)

島根の港町に生まれて、山の中に嫁ぎ、遠く日本海を臨む場所でお茶の栽培に携わるようになりました。両親は海の仕事でしたので、初めての農業は右も左も分からず年月は瞬く間に過ぎ去りました。気が付けば3人の子供たちも大きくなり、苗木だった茶畑も立派に育ってきれいな緑色の絨毯が広がっていました。ある朝、かまぼこ型の茶の木の畝がモコモコと並ぶその向こう側を、自転車で下っていく息子の背中を見送りながら、ふと足元を見つめて「これが"シアワセ"なのかもなぁ」とじんわり感じたのを覚えています。近ごろでは春に新芽の赤ちゃんが顔を出し始めると、かわいくて愛しくて、「よぉ(よく)顔を出したねぇ」と思わず声をかけてしまいます。毎日ただ無我夢中だった頃には、こんな風に穏やかに思える日が来るとは想像もできなかったけど。今はここで、お茶畑で、日本茶を見て触れて感じて、楽しんで頂きたいという思いでいます。遠くの方にも、うちのお茶でひと息ついていただけたらとても嬉しいです。

農業女子PJ 日本茶アンバサダー協会は農業女子プロジェクトのサポーターズメンバーとして、「ENJOY!日本茶」での情報発信等を通じて農業女子プロジェクトを応援しています。