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農業女子プロジェクトコラボエッセイ~島根県扇原茶園 佐々木京子さん~vol.4

2015.12.15

こんにちは、今日は島根県の出雲地方の伝統食をご紹介します。

島根県は、東西に長い県で東部の松江・出雲・安来は出雲地方、西部の大田(石見銀山のあるところ)・浜田・津和野町は石見地方といいます。

さて、「ぼてぼて茶」って聞いたことありますか?
私も今回、初めて体験したんです・・・びっくりぽんでした。

写真(1)

まず、「ぼてぼて茶」の名前の由来について、諸説ある中から2つ紹介します。
1つは、奥出雲のたたら製鉄の職人さんたちが、高温で過酷な作業の合間に、立ったまま口に流し込んでいた労働食だといわれています。
2つめは、茶人としても有名な、松江藩第7代藩主松平治郷(島根では、不昧公の名で親しまれている)が鷹狩りに出かけた際にのんでいたものが、やがて庶民の間にも仕事の合間に立ったまま食べられる間食や非常食として根付いたとされる説です。

写真(2)

私がいただいたのは、お茶の花を乾燥させ、それを煮出したお茶を抹茶茶わんより深めのお茶碗に入れ、長めの茶筅(写真のように抹茶用の茶筅とは違います)の穂先に塩をつけてぼてぼてと泡立てます。
この泡立てる音から「ぼてぼて茶」と名がついたとされています。
そして、泡立てたお茶の中に、おこわやごはんを入れ煮豆や漬物、刻んだ高野豆腐等5種類の物を彩りよく少しづついれれば出来上がり。

写真(3)

私のイメージでは、「お茶」と名前がついているので、どんなお茶かなーと、初めての体験にワクワクしていました。
ところがビックリ!面白い!まるで泡泡のお茶漬けだ~!
しかも、箸が無い。長ーい黒文字一本だけ!
えっ、これでいただくん?面白い!最後まで食べれるかな~?心配。

写真(4)

安心してください、きれいに美味しくいただきました。
とっても不思議な経験。ほんとうに楽しかったー。
まだまだ、知らないお茶文化や食文化があるんだなぁと、知ることの喜びをかみしめたいい日でした。
全国のみなさーん、島根に来て一度「ぼてぼて茶」お試しあれー!

この記事を書いた執筆者

佐々木京子

佐々木京子(ささき きょうこ)

島根の港町に生まれて、山の中に嫁ぎ、遠く日本海を臨む場所でお茶の栽培に携わるようになりました。両親は海の仕事でしたので、初めての農業は右も左も分からず年月は瞬く間に過ぎ去りました。気が付けば3人の子供たちも大きくなり、苗木だった茶畑も立派に育ってきれいな緑色の絨毯が広がっていました。ある朝、かまぼこ型の茶の木の畝がモコモコと並ぶその向こう側を、自転車で下っていく息子の背中を見送りながら、ふと足元を見つめて「これが"シアワセ"なのかもなぁ」とじんわり感じたのを覚えています。近ごろでは春に新芽の赤ちゃんが顔を出し始めると、かわいくて愛しくて、「よぉ(よく)顔を出したねぇ」と思わず声をかけてしまいます。毎日ただ無我夢中だった頃には、こんな風に穏やかに思える日が来るとは想像もできなかったけど。今はここで、お茶畑で、日本茶を見て触れて感じて、楽しんで頂きたいという思いでいます。遠くの方にも、うちのお茶でひと息ついていただけたらとても嬉しいです。

農業女子PJ 日本茶アンバサダー協会は農業女子プロジェクトのサポーターズメンバーとして、「ENJOY!日本茶」での情報発信等を通じて農業女子プロジェクトを応援しています。