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清水加奈『かぶせ茶農家のひとりごと』vol.3 かぶせ茶の楽しみかた

2016.12.10

こんにちは。
今年も残すところあと20日。19回寝ちゃうとお正月ですよ!
この間お盆だと思っていたのに、、、歳を重ねるたびに月日が過ぎるのが早く感じます。

今回は私の愛する「かぶせ茶」のお話です。
前回にもお話ししましたが、三重県はかぶせ茶の生産が日本一!!私が住んでいる四日市市水沢(すいざわ)町はかぶせ茶の主産地です。
それではここでちょっとおさらい。かぶせ茶ってどんなお茶?

そう、名前の通り黒い覆いをかぶせて育てるからかぶせ茶。
なんでわざわざかぶせるの?
新芽に日光があたるのを抑えて、光合成を止めています。光合成をするとお茶って渋み成分タンニンを作ってしまうので。だからかぶせ茶は渋みが少ない、ほんのり甘いお茶なのです。

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よくお客様から「玉露とどう違うの?」と聞かれます。玉露との違いは、かぶせているときの期間の長さや遮光率。玉露はもっと長い期間、茶園そのものを覆ったりして育てます。
つまり、かぶせ茶はもっとかぶせた玉露と、何もかぶせない煎茶のちょうど間のお茶なのです。

じゃあ、中途半端な味なの?いやいやそうではありません!
かぶせ茶は淹れかたによって、玉露の味が出せたり、煎茶の味が出せるお茶なのです。
ぜひかぶせ茶でお試しください。ぬる~いお湯やお水で茶葉が開くまでじっくり待って、淹れてみてください。まったりとした玉露の味が楽しめます。
今度はあえて熱湯で茶葉が開くまで待って、淹れてみてください。さっぱりとした煎茶の味が楽しめますよ。
どんなお茶でもお湯の温度が低いと甘みが、温度が高いと渋みが楽しめますが、私はこの味の差がハッキリ出るのがこの「かぶせ茶」だと思います。

ですので、家族でお茶の好みがお父さんは渋み派、お母さんは甘み派と分かれていたり、食事の時は渋いお茶、ほっとひといき休憩には甘いお茶が飲みたいの、というちょっとしたワガママに答えてくれるお茶がこの「かぶせ茶」なのです。
ちなみにかぶせ茶は甘み成分テアニンが多いので、リラックス効果が高いお茶ですよ。
かぶせ茶って良い仕事してるわぁ。

そしてもうひとつ。皆さんにおすすめしたいかぶせ茶の楽しみ方は・・・。
茶殻を食べること!!!
急須に残った茶殻をそのまま取り出し、ポン酢をかけておひたしで食べちゃうのです!
お気に入りのドレッシングや、ちょっとお洒落に岩塩とオリーブオイルでもOK。

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「お茶って体に良いのよねぇ」とよく言われます。カテキン、ビタミンC、カフェイン、アミノ酸などは、急須で淹れたお茶で飲んで摂取できるのですが、実はビタミンE、食物繊維、ミネラルなどは茶殻に残っているのですー!
茶殻を捨てるのは、もったいないっ!!!
茶殻を食べることによって、お茶の栄養を全部摂取できるわけです。でも、美味しくないんでしょ?と思われるかもしれませんね。だって、普通は捨てちゃうものですもんね。
私もいろんな茶殻を食べましたが、気が付いたんです。かぶせ茶と玉露の茶殻は食べやすくて美味しい!
おそらく、かぶせて育てるために、茶葉が柔らかいからでしょうね。かぶせ茶カフェのお客様も最初は恐る恐る、途中からはガッツリお召し上がりになりますよ。
一煎・二煎目のまだ味が出る茶殻よりも、三煎・四煎の味を出し切った茶殻のほうが、えぐみがなくて美味しいですよ。
また、茹でたほうれん草の感覚でお料理にも色々使えます。中でも、茶―ハン(茶殻入りのチャーハン)はおすすめ。炒めているときにお茶の香りがキッチン中に広がるのです。
詳しくはこちらをご覧ください。
http://www5.city.yokkaichi.mie.jp/secure/62019/HP_kabusecha-recipeA5-2016-03.pdf

そして、最後にちょっとお知らせ。

只今、東京表参道にあります LATTEST Omotesando Esopresso Bar さんにて、イベント「伊勢茶のある生活」開催中です!!
コーヒーを飲むような感覚で伊勢茶を飲んでもらおうと、2ヶ月間LATTESTさんをジャックし、伊勢茶を使った新メニューが楽しめますよ♪
ワークショップもあります!
2017年1月14日(土)には、茶道のように和菓子と茶器を楽しみながら日本茶の楽しみ方を再発見していきます。
2017年2月4日(土)には、三重県産のお米と塩や具のおにぎりと一緒にかぶせ茶を自分で淹れて楽しみます。実はこのワークショップは私もお手伝いさせていただきます!!
ぜひ、お近くの方はお立ち寄りください。
詳しいことと、今後の情報はこちらをご覧ください。
https://www.facebook.com/urakutokyo/?fref=t

 

《これまでの記事》
●vol.1三重の茶畑からこんにちは
●vol.2 へぇ~、三重県お茶事情。

この記事を書いた執筆者

清水加奈

清水加奈(しみずかな)

三重県の専業茶農家(有)マルシゲ清水製茶の長女に生まれ、幼い頃から跡継ぎとして育てられる。25歳の頃結婚と同時に就農。2010年に1人でも多くの方に三重のかぶせ茶を知ってもらい、ファンになってもらいたいという想いから『かぶせ茶カフェ』を開業。農業女子プロジェクトメンバー、四日市茶農家女子会メンバー、茶育指導士、二児の母。
★マルシゲ清水製茶HP: http://marushige-cha.jp/