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清水加奈『かぶせ茶農家のひとりごと』vol.14 『滋賀 信楽朝宮へ行って来ました!』

2017.11.10

皆さん こんにちは。
2週連続の台風は大丈夫でしたか?わが家は茶園のネットを保管してある小屋の屋根や戸が飛んだり、愛犬茶太郎の家が壊れました。が、大きな被害はなく一安心です。三重県内では命を落とされたりと、甚大な被害にあわれた方もみえます。台風被害お見舞い申し上げます。

わが家の西にそびえる鈴鹿山脈の山々も、少し葉が黄色や赤っぽい秋色に変わってきています。秋を感じますね。そんな雲ひとつない秋晴れの11月1日、お隣滋賀県のお茶処、「信楽町 朝宮」へ行って来ました!!朝宮は京都と滋賀の県境に位置し、なんと標高が400メートルで日本の最上の茶産地だそうです。新幹線から見える静岡茶のように、山の斜面に茶園が見られました。
今回は私も所属する「四日市茶農家女子会」の研修でもあり、同じように朝宮のお茶を広める活動をされている「お茶芽Dream朝宮」さんのイベントに参加しました!その名も「お茶の花摘みと紅茶作り体験」!!
まずはお茶芽さんのご案内で、近くの茶園で紅茶にする茶葉とお花を摘みました♪私はかぶせ茶をつくっている茶農家なので、お茶摘みというと水々しい若い新芽だけを摘むイメージ。今回は先から3番目くらいの少し硬く色も濃い緑色の茶葉を摘むということで、第1カルチャーショック!

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そしてお茶の花を摘むという、茶農家なのに初体験で第2カルチャーショック!実はお茶の花は茶樹が弱り、子孫を残すために咲くため茶農家にとってあまり喜ばしいことではないのです。椿のミニ版の白くてカワイイお花なのですが、これまではあまり使い道を考えたことはありませんでした。がしかし、今日は天ぷらでいただくというじゃありませんか!!もうビックリです。
摘みとった茶葉は信楽焼の陶板で加熱しながら揉みます。だんだん茶葉が細かく、小さくなってきました。結構力が要りますよ!

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その後蓋をし、1時間ほど発酵させる為に放置します。どんな変化が起こるかドキドキしちゃいます。

発酵を待つ間、なんとお茶芽さん手作りのお茶粥ランチ!!
なんて豪華!同じ茶処でも水沢では茶粥はほとんどしません。どうやら朝宮は昔からほうじ茶の生産も盛んなようで、おそらくほうじ茶でお粥を炊く「茶粥文化」が盛んになったのでしょうね。ほのかに香るほうじ茶のこうばしさと、お米の甘さがベストマッチ!!子供達にも人気でそうだな~。

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先程自分で摘んだお茶のお花は、天ぷらに~。どんな味か想像もつかなかったのですが、いただいてみると、、、美味しい!!ここちよい苦味が癖になります。あっ、ふきのとうの天ぷらみたいでした!茶処でしか味わえない、旬のお料理。なんで今まで思いつかなかったのかと、不思議な感じと恥ずかしさとくやしさと入り混じった変な気持ちになりました(笑)
他のお料理も美味しかった~。

美味しいランチをいただいている間に発酵して、紅茶独特の香り。ここで発酵を止めるために高温で熱しながら攪拌します。同時に乾燥もしていき、だんだんと紅茶っぽくなりました。できあがり!!

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私は紅茶は前日に茶葉を摘み、萎れさせて発酵させて、、、と思っていたので、さっき摘んだばかりの茶葉がこんなに手軽に紅茶になるなんてビックリ。しかも地元の産物「信楽焼」と「朝宮茶」とのコラボという、なんと粋なニクイ体験なんだと嫉妬しました。いつか四日市も「萬古焼」と「水沢茶」コラボでこんな粋な体験をお客様にしてもらいたいなぁ。

できたての紅茶とお茶スイーツをいただきながら、お茶芽Dream朝宮さんの取り組みなどのお話をお伺いしました。

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メンバーの皆さん、朝宮や朝宮茶が大好きで、皆さんに楽しんでもらいたいという気持ちが伝わってきました。私達四日市茶農家女子会も全く同じ。茶業の現状や課題は共感しました。
ひとつ大きな違い発見!!お茶芽さんはなんとお茶農家さんではないメンバーが何人かいらっしゃるのです。これもビックリ!!新茶時期など農繁期はみんなが忙しくなかなか活動ができないという課題があるのですが、茶農家さん以外のメンバーがいればその方たちが活動してくれるので、1年中活動できるというわけです。大きな強みですね。私達も真似したいな~。

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朝宮での一日で、すっかり朝宮と朝宮茶、そしてお茶芽Dream朝宮さんのファンになってしまいました!!またお茶芽さんのイベントに参加したいな~。

日本茶アンバサダー×お茶芽Dream×深谷瑠璃光寺
「最澄さんのお茶伝道プロジェクト」

《これまでの記事》
●vol.1三重の茶畑からこんにちは
●vol.2 へぇ~、三重県お茶事情。
●vol.3 かぶせ茶の楽しみかた
●vol.4 「ようこそ!かぶせ茶カフェへ」
●vol.5 「冬の茶畑と茶農家」
●vol.6「ise-chaのある生活」
●vol.7 「お茶植え」
●vol.8「新茶2017」
●vol.9 『新茶無事終了』
●vol.10 『夜のお仕事』
●vol.11 『かぶせ茶氷』
●vol.12 『お茶の品種』
●vol.13 『秋番茶刈り採り中です!』

この記事を書いた執筆者

清水加奈

清水加奈(しみずかな)

三重県の専業茶農家(有)マルシゲ清水製茶の長女に生まれ、幼い頃から跡継ぎとして育てられる。25歳の頃結婚と同時に就農。2010年に1人でも多くの方に三重のかぶせ茶を知ってもらい、ファンになってもらいたいという想いから『かぶせ茶カフェ』を開業。農業女子プロジェクトメンバー、四日市茶農家女子会メンバー、茶育指導士、二児の母。
★マルシゲ清水製茶HP: http://marushige-cha.jp/