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岐阜のお茶旅 vol.27_チーズと日本茶が出会った日 国産ナチュラルチーズ博in NAGOYA

2019.09.17

 

9月1日、名古屋でNPO法人チーズプロフェッショナル協会主催のイベント「国産ナチュラルチーズ博」が開催されました。私はチーズプロフェッショナル協会員として、「日本茶コーナー」を担当しました。チーズ愛好家の皆様に、チーズと日本茶のペアリングを楽しんでいただけるように、美味しい日本茶の提供に務めさせて頂く一日となりました。

 

 

オープニングのテープカットセレモニーはチーズ生産者とチーズプロフェッショナル協会本間るみ子会長の手で執り行われました。定員150名の前売りチケットは販売開始より2週間で完売しました。
ナチュラルチーズと言えば、欧州産を思い浮かべる方も多いと思いますが、実は近年、国産のナチュラルチーズは目覚ましい発展を遂げています。2019年現在、全国に大小合わせて約300軒のチーズ製造所があります。良質な国産のミルクで作られるナチュラルチーズは国内外のコンクールで素晴らしい成果を上げています。

 

 

会場には北海道から九州まで23軒のチーズ生産所の約70種類の個性豊かなチーズが並びます。

 

 

日本では珍しいい山羊乳、羊乳のチーズもあります。ブルーチーズ、白カビチーズ、ウオッシュタイプなどいろいろな味わいのチーズが一度に楽しめます。

 

 

大人気のラクレットチーズは焼き立てのトロトロが振るまわれます。

 

 

ドリンクコーナーは国産ワイン、日本酒、そして日本茶がサービスされます。

 

 

日本茶は4種類を用意しました。名古屋での開催でしたので地元のお茶を選びました。冷茶として提供したのは愛知県西尾市「葵製茶」の抹茶「松寿の白」と「特上煎茶」です。煎茶はうま味を引き出すために氷水で抽出しました。温かいお茶は、岐阜県東白川村の煎茶「春摘み一番茶」と「上ほうじ茶」です。
愛知県西尾市は日本有数の抹茶の産地です。京都府に次ぐ生産量を誇ります。「西尾の抹茶」は長年の生産者の伝統と技術が評価され、2017年3月に国の地理的表示(GI)保護制度に登録されました。コクがあり、マイルドで優しい味わいが特徴です。
白川茶の産地の一つ東白川村は岐阜県では茶生産の北限に位置します。山々に囲まれた美しい自然環境の中で育つお茶は清々しい山の空気を感じます。東海地方の美味しいお茶と日本の美味しいチーズの出会いに心が躍ります。

 

 

チーズプロフェッショナル協会理事の早川由紀さん(左)と日本茶コーナーサポーターの平林怜子さん(右)です。冷茶はワイングラスでサービスします。ワインのように色や香りを楽しんで頂きます。

 

 

この日の名古屋は蒸し暑く、会場の熱気もあり、冷茶が大人気でした。開始から約2時間で約150杯の冷茶と80杯のアイス抹茶を提供させていただきました。温かい煎茶とほうじ茶は1煎づつ淹れたてをご用意しました。約50杯の注文を頂きました。来場のお客様はチーズと日本茶のペアリングを興味深く楽しんでくださいました。
「どんなチーズと合わせればいいですか?」との質問も多く寄せられました。爽やかな味わいのフレッシュなチーズや優しく穏やかな味わいの白カビのチーズ、セミハードのチーズには煎茶、抹茶と一緒に。強い香りのブルーチーズやウオッシュタイプのチーズには焙煎の香りが香ばしいほうじ茶を合わせて頂くと美味しく召し上がって頂けます。

 

 

冷茶、煎茶と抹茶。そしてチーズです。
国産チーズは欧州のチーズと比べると味わいが優しく、香りも穏やかです。チーズに合うドリンクとしてワインが有名ですが、実は日本酒や日本茶との相性も抜群です。特に、マイルドな味わいの国産チーズと日本茶はよりバランスが良く感じます。日本茶の旨味とチーズの旨味の味わいが調和し、より豊かな味わいが楽しめます。お茶の渋みはチーズの脂肪分をすっきりとさせ、チーズの味わいがマイルドになります。そしてチーズ独特な香りや風味を穏やかに変化させます。

チーズと日本茶のペアリングは栄養価のバランスもより良くします。チーズはタンパク質、脂質、カルシウムなどのミネラル、ビタミンA ビタミンBが豊富な食品です。含まれていない栄養素はビタミンCと食物繊維、炭水化物です。緑茶や抹茶にはビタミンCが豊富です。抹茶や最近ブームの粉茶、パウダーティーには食物繊維が含まれています。チーズに足りない栄養素を日本茶で補強できるのです。
「チーズと日本茶のティータイム」がトレンドになる日も近いかもしれません。チーズの良質なタンパク質、ビタミンA、B群。そして、緑茶や抹茶に含まれるビタミンCは美肌効果にも期待が持てます。日本の素晴らしい農産物、お茶とチーズ。自由なアレンジで美味しく、健康的に楽しむ時間が多くの方に浸透していく事を心より願っています。

 

 

《これまでの記事》
●vol.1_見渡せば、山、山、山。山の中の岐阜のお茶
●vol.2_清らかな山の恵み。美しい村、東白川村のお茶
●vol.3_美濃白川茶発祥の地に残る いにしえのお茶
●vol.4_東白川村 昔ながらの秋のお茶
●vol.5_東白川村 五加(ごか)地区の無農薬の茶畑で・・・・。
●vol.6_郡上八幡の人々が愛する美味しいほうじ茶 田中茶舗
●vol.7_宗祇水に導かれて・・・お抹茶処 宗祇庵
●vol.8_郡上八幡 第13回 小那比茶 茶摘み・茶もみ体験
●vol.9_美濃焼の旅 土岐市 織部の日のお茶会
●vol.10_西美濃に銘茶あり 美濃いび茶 茶山正
●vol.11_尾張名古屋のお抹茶ワールド お茶と抹茶スイーツの店 茶縁
●vol.12_岐阜のマチュピチュ 天空の茶畑
●vol.13_有楽苑 国宝茶室 如庵  愛知県犬山市
●vol.14_Barスタイルで夏の白川茶を楽しむ。 カガミガハラ・スタンドで東白川村のお茶イベント
●vol.15_清らかな山の緑風が香る白川茶 東白川村 茶広農園
●vol.16_天空の茶園で茶の実油の魅力を伝える 春日乃売茶翁
●vol.17_郡上八幡 城下町に栄えた茶道文化 町屋カフェ さいとう
●vol.18_名古屋栄のお抹茶専門店 茶々助 お抹茶を味わう日
●vol.19_近江茶の老舗 中川誠盛堂茶舗 日本最古の茶園のお茶が蘇る「日吉銘茶」
●vol.20_伊深の里から、新たな発信。日本茶と日本古典芸能の世界へ。茶霞(さか)O’carre(オキャレ)
●vol.21_伝統の美濃白川茶をスタイリッシュにアプローチ 美濃加茂茶舗
●vol.22_美味しい「いび茶」を求めて 岐阜市の老舗 明治屋茶舗
●vol.23_郡上の美味しいお茶と昔ながらのお団子を召し上がれ 団子茶屋郡上八幡
●vol.24_岐阜の南西端の美しい里山 美濃上石津茶 平塚香貴園
●vol.25_岐阜の銘茶 白川茶の里 白川町黒川

●vol.26_甘く華やぐお茶の香り 昔ながらの白川茶  嶋田園

この記事を書いた執筆者

平林典子日本茶アンバサダー

平林典子(ひらばやしのりこ)

「Lacue チーズ・お茶・ワイン」の教室を運営。セミナーやイベントを開催。煎茶道黄檗松風流師範。チーズプロフェッショナル(CPA認定)ソムリエ(JAS認定)中国茶インストラクター(ロ・ヴー認定)茶道の季節を愛でる思いを大切に、気軽に楽しく、美味しく、自由な発想でお茶を楽しむ教室やお茶会を開催しています。