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岐阜のお茶旅 vol.18_名古屋栄のお抹茶専門店 茶々助 お抹茶を味わう日

2018.12.17

 

温かいお抹茶が美味しい季節になりました。今回は名古屋市中区栄にある抹茶専門店「茶々助」で美味しいお抹茶を楽しんできました。名古屋市中区栄は百貨店や海外ブランド店が建ち並ぶ繁華街です。都会の中の小さなオアシスのように佇む「茶々助」は2016年8月にオープンしました。お店の入り口には、映画「日日是好日」のポスターがお客様をお迎えしていました。

 

 

「茶々助」店主の今川宏二さんです。厳選された質の良い抹茶を丁寧に点てています。生まれも育ちも名古屋の今川さんは名古屋の喫茶文化を大切に心にとめています。
名古屋は喫茶店の数が多く、飲み物を注文するとトーストや茹で卵がもれなくついてくる「モーニングサービス」も有名です。老若男女問わず、気軽に立ち寄ることのできる喫茶店は生活の中に溶け込んでいます。名古屋で喫茶店が栄えた理由のひとつに、昔から茶道が盛んであったことが言えます。それと同時に、普段の生活の中で、仕事の合間に抹茶を飲む人が多かったそうです。愛知県には抹茶の生産地である西尾市があることも影響しています。尾張名古屋の人々は昔からお茶好きなのです。今となっては、コーヒや紅茶になってしまいましたが、喫茶の風習は変わることなく現代にも引き継がれています。

江戸時代中期、尾張徳川家第7代当主、尾張藩主 徳川宗春は、祭りや芸術を奨励し消費と経済の活性化を図りました。当時の徳川将軍吉宗は質素倹約を重視し幕府体制の立て直しを図っていました。吉宗の緊縮令で出番を失った江戸、上方の役者や芸人が名古屋に集まり「芸どころ名古屋」が花開きました。活気に溢れる民衆も芸事を楽しみ、茶道をたしなむ人が多くなったそうです。日々の生活の中で一服のお茶を楽しむことが、日常茶飯事であった事は言うまでもありません。
「名古屋の喫茶文化の中で、茶道と喫茶を繋げられるようなカフェを造りたい」そんな願いのもと、抹茶専門店「茶々助」が生まれました。

 

 

「茶々助」では、本格的な抹茶の他、パフェやティラミスなどの抹茶スイーツのメニューも豊富です。写真は抹茶ティラミスです。棗に盛り付けられている斬新なスタイル。蓋を開けると、色鮮やかな抹茶がたっぷり盛られています。甘さは控えめで上品な味わいです。上にかかっているお抹茶がとても美味しいです。「茶々助」のスイーツはどれも、甘さ控えめで、抹茶の美味しさや風味を存分に味わえます。

 

 

スイーツ・メニューの一部です。パフェに濃茶をかけて食べるパフェや、抹茶ラテは、西尾抹茶、宇治抹茶、八女抹茶の中から抹茶を選びます。生産地によって味わいが変わることで、抹茶への興味も深くなります。

 

 

お店の奥には抹茶を挽く石臼が置かれていました。自ら厳選して仕入れた碾茶を店内で挽いて提供しています。スイーツに使う抹茶も、飲む抹茶もすべて、この石臼で挽いています。

 

 

お抹茶、お薄の種類も豊富です。いろいろなお抹茶を飲み比べてみたい人にとってはとても興味深い事です。西尾、宇治、八女、2種類を選んでのブレンド、4種類のお抹茶があります。品種にこだわりたい人は、愛知県豊田市の「お茶の純平」の「さみどり」と「あさひ」の2品種のお抹茶があります。豊田市は江戸時代後期、製茶を手掛けた豪商の記録が残る歴史ある土地です。豊田市と言えば日本を代表する、ものづくり産業「トヨタ自動車」を連想しますが、日本文化を代表する「お茶」も生産していたのです。「お茶の純平」は明治3年(1870年)創業、大正9年(1920年)三河式碾茶機を考案し、全国の碾茶製造の近代化に貢献しました。自園、自製、自販にこだわり、お茶を取り巻く文化や伝統を大切にしています。平成16年、農林水産祭で内閣総理大臣賞を受賞しています。

この日、お抹茶「八女」と「お茶の純平のさみどり」を点てて頂きました。飲み比べる事で味わいの違いがよくわかります。八女は火入れがしっかりとしているので、香ばしい風味が広がります。さみどりはまろやかな口当たりで、香りが華やかです。産地や生産者によってのそれぞれの美味しさが味わえることに、お抹茶の奥深さを感じます。

 

 

カジュアルで落ち着いた空間の店内。カウンター越しからお抹茶の香りがふわりと漂う。
茶釜で沸いた湯を柄杓で汲み、丁寧に点てられるお抹茶を味わう日常。「今日も美味しい一服でした。」そんな風に、心が込められるお茶の時間を味わえたら幸せです。

「茶々助」では、映画「日日是好日」を鑑賞されたお客様に「お抹茶100円引き」のプレゼント企画を行っています。名古屋ミッドランドスクエアシネマ、ミッドランドシネマ名古屋空港の「日日是好日」の鑑賞半券を提示してください。年内までの期間です。この映画の素敵な余韻に包まれて、美味しいお抹茶を味わえたら、素晴らしい一日になりますね。

アクセスの良い「栄」で、茶道の奥深さと伝統を味わい、流行りの抹茶スイーツも楽しめる「茶々助」。気軽に肩の力を抜いて味わいたいお抹茶の世界です。

抹茶 茶々助 名古屋市中区栄4-15-9 食べるテラスSAKAE 1階
名古屋市営地下鉄 栄駅13番出口から徒歩3分

 

 

《これまでの記事》
●vol.1_見渡せば、山、山、山。山の中の岐阜のお茶
●vol.2_清らかな山の恵み。美しい村、東白川村のお茶
●vol.3_美濃白川茶発祥の地に残る いにしえのお茶
●vol.4_東白川村 昔ながらの秋のお茶
●vol.5_東白川村 五加(ごか)地区の無農薬の茶畑で・・・・。
●vol.6_郡上八幡の人々が愛する美味しいほうじ茶 田中茶舗
●vol.7_宗祇水に導かれて・・・お抹茶処 宗祇庵
●vol.8_郡上八幡 第13回 小那比茶 茶摘み・茶もみ体験
●vol.9_美濃焼の旅 土岐市 織部の日のお茶会
●vol.10_西美濃に銘茶あり 美濃いび茶 茶山正
●vol.11_尾張名古屋のお抹茶ワールド お茶と抹茶スイーツの店 茶縁
●vol.12_岐阜のマチュピチュ 天空の茶畑
●vol.13_有楽苑 国宝茶室 如庵  愛知県犬山市
●vol.14_Barスタイルで夏の白川茶を楽しむ。 カガミガハラ・スタンドで東白川村のお茶イベント
●vol.15_清らかな山の緑風が香る白川茶 東白川村 茶広農園
●vol.16_天空の茶園で茶の実油の魅力を伝える 春日乃売茶翁
●vol.17_郡上八幡 城下町に栄えた茶道文化 町屋カフェ さいとう

この記事を書いた執筆者

日本茶アンバサダー

平林典子(ひらばやしのりこ)

「Lacue チーズ・お茶・ワイン」の教室を運営。セミナーやイベントを開催。煎茶道黄檗松風流師範。チーズプロフェッショナル(CPA認定)ソムリエ(JAS認定)中国茶インストラクター(ロ・ヴー認定)茶道の季節を愛でる思いを大切に、気軽に楽しく、美味しく、自由な発想でお茶を楽しむ教室やお茶会を開催しています。