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岐阜のお茶旅 vol.15_清らかな山の緑風が香る白川茶 東白川村 茶広農園

2018.09.17

 

朝晩の涼やかな風を感じると、酷暑の夏が終わったことに、心がほっと安心します。香り立つ温かいお茶が美味しい季節の到来に、喜びを感じるこの頃です。
夏の終わり、JR岐阜駅西に隣接した複合商業施設「アクティブG」の「THE GIFUTS SHOP」で体験ワークショップ「岐阜の白川茶を楽しもう」が開催されました。講師は東白川村の茶広農園(さひろのうえん)代表の安江昌弘さんです。写真は安江さんの茶畑です。
山間に拓かれた急峻な地に、元気に育つ茶葉がキラキラと輝いています。

 

 

お茶農家に生まれ育った安江さんは、高校卒業後、静岡県にある国立野菜茶業試験所で2年間学び、その後、静岡の茶商に就職し、5年間お茶のブレンドや製造、販売に携わります。そして、故郷の東白川村に戻り、(有)新世紀工房 茶蔵園に入社します。静岡で培った茶業の経験を生かし、16年間、茶蔵園で東白川村のお茶の発展に務めました。そして、2016年2月に茶広農園を開業し今に至ります。安江さんは茶審査技術段位7段の資格を取得しています。

 

 

ワークショップの会場「THE GIFUTS SHOP」は生活空間を豊かにする岐阜の逸品が集結したお店です。手軽に購入できるお土産品も充実しています。

 

 

このように、岐阜のお茶もいろいろと取り揃えています。

 

 

体験ワークショップ「岐阜の白川茶を楽しもう」では、東白川村のお茶の美味しい淹れ方のポイントを講師の安江さんが丁寧にレクチャーして下さいました。今回、淹れるお茶はすべて、安江さんが手掛ける、茶広農園のお茶です。東白川村のお茶は香りに特徴があり、山の木々の爽やかな香りを連想させます。少し熱めの温度、85℃~90℃のお湯で、抽出時間20秒~30秒でサッと淹れると香りが華やかに立ち、美味しく淹れる事ができます。

 

 

安江さんのレクチャーに習い実践してみます。お茶碗にお茶が注がれると、お茶の香りが広がって、ほっこりと笑顔になり会話も弾みます。清々しい香りとすっきりとした渋み。深みのある味わいが楽しめる美味しい煎茶です。

 

 

「高級煎茶」を美味しく淹れる方法も紹介されました。茶広農園で栽培された茶葉100%を使用しています。新芽をふんだんに使用し、軽めの焙煎で仕上げています。お茶の旨味を贅沢に味わうために、60℃のお湯で1分間抽出します。茶葉3gで湯量は40CC~50CCと、茶葉も多めです。うま味たっぷりで濃厚な味わいです。
お茶の美味しい淹れ方として、多くの人が集まった時のお茶の淹れ方や、水出し茶の作り方がレクチャーされ、色々なお茶の試飲が楽しめるワークショップとなりました。

 

 

お土産は、茶広農園の煎茶とほうじ茶の飲み比べセットと、みずみずしいトマトです。茶広農園ではトマトも栽培しています。

 

 

安江さんは紅茶造りにも熱心です。東白川村で紅茶を造っているのは、安江さんだけです。
紅茶造りを始め15年目を迎えます。安江さんは静岡の国産紅茶、和紅茶に出会い、その美味しさに感動します。「こんな美味しい紅茶を自分でも造ってみたい。」熱い想いから、製造元を訪ね、製法を学びます。とても良心的に指導して下さったそうです。そして、自らの研究を重ね東白川村の茶葉で紅茶を造り始めます。上の写真は、煎茶用の茶葉、やぶきた種と香駿種をブレンドした「BⅬEND‐2」と紅茶に使われる品種「べにふうき」です。「BⅬEND‐2」は、すっきりとした渋みが感じられ、ほのかな甘味を感じます。「べにふうき」は水色が濃く、まろやかで、しっかりとした渋みが感じれ、発酵の豊かな芳香があります。茶葉の品種によって、それぞれの味わいの違いが楽しめます。香駿種100%の紅茶も製造しています。

 

 

べにふうきは東白川村の五加地区で栽培されています。昨年、五加地区を訪れた様子を「岐阜のお茶旅 Vol.5 東白川村五加(ごか)地区の無農薬の茶畑で・・・。」にて紹介しました。五加地区では農薬、化学肥料不使用、有機堆肥使用で「べにふうき」を栽培しています。

 

 

安江さんはフレイバーティーも幾つか手掛けています。茶広農園の春摘み茶葉を使用した「上煎茶」をベースに、桜の葉、柚子をブレンドしたもです。フレイバーに使用する素材はすべて国産にこだわっています。柚子は岐阜県関市上之保で栽培されたものを使用しています。煎茶の爽やかな風味に桜の葉や柚子の香りが、強すぎることなく、優しい香りを放ち、優しく調和しています。

 

 

和紅茶のフレイバーティーです。茶広農園の和紅茶「BⅬEND‐2」をベースに、カモミール、ローズ、ラベンダーなどがあります。ティーバッグからお茶を出してみると、茶葉がとても美しいことに感動します。フレーバーに使われる植物の香りが強すぎず、上品な芳香で、紅茶の味わいと甘さをより引き立てています。香り高く、優しく穏やかな飲み心地は、心もリフレッシュし、癒される味わいです。安江さんの洗練されたブレンドは、美味しいお茶の中に香りを感じる美しい味わいです。お茶の製造から販売まで、自ら携わることで、「味を作る」仕事に魅力を感じ、研究を重ねる安江さん。味わいのバリエーションの広がりに可能性と挑戦を求め、新しいお茶の世界を作り上げています。

茶広農園のお茶の詳細は「東白川村 つちのこマルシェ」 のホームページに掲載されています。

 

 

《これまでの記事》
●vol.1_見渡せば、山、山、山。山の中の岐阜のお茶
●vol.2_清らかな山の恵み。美しい村、東白川村のお茶
●vol.3_美濃白川茶発祥の地に残る いにしえのお茶
●vol.4_東白川村 昔ながらの秋のお茶
●vol.5_東白川村 五加(ごか)地区の無農薬の茶畑で・・・・。
●vol.6_郡上八幡の人々が愛する美味しいほうじ茶 田中茶舗
●vol.7_宗祇水に導かれて・・・お抹茶処 宗祇庵
●vol.8_郡上八幡 第13回 小那比茶 茶摘み・茶もみ体験
●vol.9_美濃焼の旅 土岐市 織部の日のお茶会
●vol.10_西美濃に銘茶あり 美濃いび茶 茶山正
●vol.11_尾張名古屋のお抹茶ワールド お茶と抹茶スイーツの店 茶縁
●vol.12_岐阜のマチュピチュ 天空の茶畑
●vol.13_有楽苑 国宝茶室 如庵  愛知県犬山市
●vol.14_Barスタイルで夏の白川茶を楽しむ。 カガミガハラ・スタンドで東白川村のお茶イベント

この記事を書いた執筆者

平林典子日本茶アンバサダー

平林典子(ひらばやしのりこ)

「Lacue チーズ・お茶・ワイン」の教室を運営。セミナーやイベントを開催。煎茶道黄檗松風流師範。チーズプロフェッショナル(CPA認定)ソムリエ(JAS認定)中国茶インストラクター(ロ・ヴー認定)茶道の季節を愛でる思いを大切に、気軽に楽しく、美味しく、自由な発想でお茶を楽しむ教室やお茶会を開催しています。