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ハレノヒケノヒ二十四節気vol.6さの神様

2017.03.30

「梅は咲いたか、桜はまだかいな」お座敷唄の調べが聴こえて来そうなこの頃。
桜の花が咲くとようやく春が訪れたような、ちょっとワクワクした気持ちになりますね。
二十四節気の春分を過ぎ、少し春めく気候になると花の便りも楽しみにされる方も多いのではないでしょうか。

そして特に昔々から桜の花は日本人には無くてはならない存在だったようです。
平安時代は貴族がその雅やかな姿を愛でながら歌詠みを
農民にとっては農耕の豊作を願う行事として桜のお花見をしていました。
ただ、それは「山桜」であり、現在全国に植えられている桜の8割と言われている
染井吉野(ソメイヨシノ)ではありません。
染井吉野は大島桜と江戸彼岸桜の交配種で、自力繁殖は出来ない観賞用の園芸種で
江戸時代、吉野(奈良県)の桜を江戸で鑑賞するという意味合いがあり
江戸時代末期、江戸の郊外・染井村(現在の東京都豊島区)の植木屋で売り出されました。
クローン種なので一斉に咲くのが特徴です。

なので、特別なところに出かけなくても私の大好きなお散歩コースにも染井吉野の名所があります。

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そもそもなぜ、日本人は桜の花にこれだけの思いを持っているのでしょうか。
日本人には自然崇拝の心が根強くあるのですが
その中でも桜の木には「さ」の神様が宿ると言われていることからという説があります。
農耕民族である日本人は田の神様が冬に山へ行き春になると農耕の「さ」の神様として
里に下りてくると言い伝えられていました。
そして
「さ」の神様が「座(くら)」するところ、つまり「さ」が「くら」で
「桜」の花には農耕の神が宿ると言われていたのです。

人々がお花見で食べ物やお酒を囲んで集うのも、豊作を願って
桜の木に宿る「さ」の神様へお供えするという意味合いの名残でもあります。

そして、日本の言葉でも「さ」の神様への敬意は
今もその意味を残すかのような言葉も多く使われています。
例えば
早乙女(さおとめ)・・田植えをする女性
幸い(さいわい)・・・「さ」の神様が祝ってくれているからこそ幸せである
五月雨(さみだれ)・・「さ」の神様が乱れる、土砂降りの雨。
早苗(さなえ)・・・苗に「さ」の神が宿る
酒(さけ)・・「さ」の神様の「気」に満ちたもの
相模の国(サガミノクニ)・・さの神様の国
悟る・・・・「さ」の神様の気持ちがわかること
境(さかい)・・・・「さ」の神様のいるところと人間がの住むところの境界

また、土佐の「よさこい節」も「良いサ来い」の訛りだという説もあります。
炭坑節の「サノヨイヨイ」という囃子言葉も「サ」の神様が登場していますね。

そして、桜はその美しい姿で私たちを楽しませてくれるだけでなく
身体の中を美しくしてくれる効果があります。

桜は塩漬けにすることでクマリン(C9H6O2)という成分が生成されます。
あの桜餅のホッとする香りは、塩とのコラボで出るもので
どれだけ桜の木に抱き着いてもあの香りは出てこないのですよ^^

そしてリラックスだけでなく、この香りの成分には
二日酔い防止、去痰、咳止め、鎮静、抗菌作用、血圧を下げてくれる効果もあります。
また、ダイエット中の方にはストレスによる食べ過ぎを抑えてくれるという嬉しい効果も!

そこで、おすすめのレシピをご紹介いたしましょう。
私は毎年、いちごと一緒にコンフィチュールを作っています。
少しずつ、長く、桜の香りを楽しむことが出来ますよ。

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いちごと桜のコンフィチュール

<材料>
いちご・・1パック 桜の塩漬け・・30g
砂糖(グラニュー糖)・・・40g
レモン汁・・・大さじ1
さくらリキュール・・大さじ1/2~1
製菓用さくらフレーバー・・数滴

★アガー、または粉寒天・・・小さじ1
★砂糖 (グラニュー糖) ・・・10g

<作り方>
1.  桜の塩漬けは半日以上水に浸けて塩抜きをする
2. いちごは洗ってからへたを取り、水気を切っておく
3. いちごと砂糖を鍋に入れ30分置く
4.3.にレモン汁を入れ、そのまま弱火で煮る
5.水分がいちごの半分くらいになってきたら、フレーバーと
リキュールを入れ、中火にしてアルコールを飛ばす
6.最後に★を混ぜたものを加えて混ぜて室温で冷まして 出来上がり

ちなみに、桜の塩漬けは、八重桜で作られています。

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そしてこれは自宅前の桜並木です。
もう少しすると見事な八重桜のピンクに包まれます。

皆様もぜひ、この春は桜を五感で愉しんでみてください。

次回は「八十八夜と暦の夏」(予定)をお届けします。

 

《これまでの記事》
●vol.1 ゆずを愉しむ
●vol.2_運気UP正しい冬至の過ごし方
●vol.3_新年の愉しみ
●vol.4_暦の春
●vol.5春の苦み

この記事を書いた執筆者

土橋みゆき

土橋みゆき(どばしみゆき)

料理研究家、日本こよみ暮らし協会代表 
日本の暦に寄り添った暮らしの提案、また、旬の食材やハーブを使った「おばんざい教室」を世田谷区で開催する他、メニュー開発、ケータリング、フードコーディネート、イベントなどに携わる。ガーデニングカタログ「オンリーワンクラブ」に”食べられるお庭”をテーマとしたガーデニングセットをプロデュース。
https://www.facebook.com/koyokura/