ENJOY!日本茶

ホーム
コラム
> ハレノヒケノヒ二十四節気vol.5春の苦み

ハレノヒケノヒ二十四節気vol.5春の苦み

2017.02.28

春はお別れの季節。
卒業、転勤、その他この時期に人生の岐路に立つ人も多いかも知れませんね。
みなさんは、どんな春を迎えられる予定でしょうか。

中国の五行説に基づく考え方で季節にはそれぞれの色があり
春の色は青、つまり「青春」なのです。

青春って、ちょっとほろ苦いものですよね。
大人になって「青春は遠くなったなぁ」とため息交じりの方も、もう一度あの青春時代へ!
というわけにはいきませんが、せめて春の苦みを味覚で楽しみましょう。
はい、楽しんだもの勝ちです(笑)

苦い食べ物といえば、春の山菜。
灰汁も多くて、お料理の手間が大変ですが、完璧に取らなくても大丈夫です。
なぜかと言うと、灰汁や山菜の苦み成分こそが冬のむくみや疲れを取ってくれるからです。

二十四節気では2月19日頃(2017年は2月18日)から「雨水(うすい)」に入り、
空から降るものが雪から雨に変わる頃とされ、農耕を始める目安になっていました。
そして、3月6日頃(2017年は3月5日)からは土の中で眠っていた虫や動物たちが目を覚ます
「啓蟄(けいちつ)」に入ります。
これらの時期にむくみを取ることが今後の健康維持につながります。

さて、この可愛い丸々した山菜をご覧になったことはありますか。
これは春の苦みの代表格、「ふきのとう」です。

001

ふきのとうにはビタミンA、ビタミンC、ビタミン類の他に
カリウム、カルシウムなどミネラル類などもバランスよく含まれています。

もうコタツでみかんの季節はおしまい!
次の季節へ向けて、人間も動き始めましょう・・と身体に言い聞かせる食材でもあるのですね。

そして、春は子どもたちが野遊びをして自然に触れることで
穢れを祓うことができるのだと言われていました。
徳島県では遊山箱という小さなお重にお菓子や軽食を詰めて
野山に出かけて外遊びをしていたそうです。

002

確かに外で草や木々と触れ合うと、大人も気持ちが洗われたかのように
スッキリすることがあります。

昨年、お友達とたまたま出かけたところにへびイチゴがたくさん自生していて
私が「毎年、焼酎に漬けて虫よけ薬にしている」と言ったら
皆が一緒に集めてくれて、結局私よりもお友達の方が夢中になってしまったという
楽しいエピソードがあります。
すっかり童心に戻り、楽しんでしまいました。

友達と他愛もない話をしながら、土に触れ、草に触れ、風に吹かれ、青空を見上げていると
私たちは自然や植物によって生かされていること
自然と共に生きることのありがたさも
昔の人々はよく分かっていたのだと改めて気付かされました。

最後に、「ふきみそ」のレシピをご紹介いたしましょう。
白いご飯に合いますので、ぜひ皆様
春の苦みをお楽しみください。

003

<材料>2人分
ふきのとう・・・50~60g
味噌・・・大さじ2
砂糖・・・小さじ1
みりん・・小さじ1
日本酒・・大さじ1

<作り方>
1.ふきのとうを丸ごと柔らかくなるまで茹でる。
2.1.のふきのとうの皮を向いて、包丁で細かく刻む。
3.鍋に2.を入れて砂糖、味噌、みりん、日本酒を混ぜて中火にかける。
4.混ざりにくい場合は水を多少足す。
5.全体が混ざったら出来上がり。
白いご飯がすすみますよ。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。
次回は さの神様 をご紹介します。

 

《これまでの記事》
●vol.1 ゆずを愉しむ
●vol.2_運気UP正しい冬至の過ごし方
●vol.3_新年の愉しみ
●vol.4_暦の春

この記事を書いた執筆者

土橋みゆき

土橋みゆき(どばしみゆき)

料理研究家、日本こよみ暮らし協会代表 
日本の暦に寄り添った暮らしの提案、また、旬の食材やハーブを使った「おばんざい教室」を世田谷区で開催する他、メニュー開発、ケータリング、フードコーディネート、イベントなどに携わる。ガーデニングカタログ「オンリーワンクラブ」に”食べられるお庭”をテーマとしたガーデニングセットをプロデュース。
https://www.facebook.com/koyokura/