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「日本茶アンバサダーレポートinシンガポール」Vol.5

2015.12.07

こんにちは。シンガポールの山田です。先日、ASEAN市場最大の日本の食に特化した見本市「Oishii Japan」を覗きに行って来ましたので、今回はその様子をレポートしたいと思います。

Oishii Japanは毎年10月中旬頃に開催され、今年ですでに4回目。日本各地から食品流通企業、生産企業が様々な食材をアジア各国に売り込もうとシンガポールにやって来ます。全3日間の日程で行われ、最初の2日間はメディアや食品、飲食関連者向けとなっており、具体的な商談も出来る機会となっています。最終日は事前登録し、5ドルほど支払うと一般消費者も入場出来るので、出展企業はシンガポール消費者へのダイレクトマーケティングを行う機会としても活用できます。扱われていた日本食は、すでにシンガポールでも多く流通する日本酒や焼酎などの酒類をはじめ、和牛や海産物、加工食品、日本茶やその他のノンアルコール飲料など多岐にわたっていました。私は最終日のみ参加したのですが、来場者の多くが地元のシンガポーリアンやシンガポール在住の外国人のようでした。2年前にOishii Japanに参加した時は日本人の参加者が多かったと記憶していますが、今年は日本人以外が大半だったのではないかと感じました。私が特に興味をもったブースをいくつか取り上げたいと思います。

まずは、日本茶アンバサダーとしては外せない日本茶ブース。日本各地のお茶農家さん、流通業者さんが出展していました。全国から10社以上が出展し、商品の展示や試飲提供、商品の販売をしていました。東京で百貨店にを訪れてもこんなに多くのブランドのお茶を一度に見ることは難しいので、私個人的には、様々なお茶を比較しながら楽しむ良い場になりました。各社のブースを見て感じたのは企業によって海外市場マーケティングのやり方にとても差があるなと思いました。海外市場進出をより具体的に薦めているような企業は出展ブースに茶室をイメージしたインテリアを置き、来場者に試飲を促す工夫をしていたり、ある企業はパッケージを外国人が好みそうな凝ったものにしたりと工夫が感じられました。多くの企業が海外販売を具体的に検討し、準備しているなと感じました。

 特に服部農園さんのブースでは社長自らが抹茶をたてて振舞っていらっしゃったり、ビジネスモデルの説明や海外向けのお茶について熱く語っていらっしゃったのが印象に残りました。また、東彼杵町では町おこしの一貫としてお茶を活用しており、役場のまちづくり課の方がブースにいらっしゃって、熱心にプロモーションされていました。こちらのお茶はパッケージがとてもきれいで外国人受けしそうだなぁと感じました。そして、JA静岡経団連さんではお茶の種類についての説明などを展示コーナーで展示していたり、お茶を使ったお菓子を作るキットなどを販売し来場者の興味をさそっていました。

写真(1)
服部農園とJA静岡経団連のブースの様子

 その他のブースについてお話しますと、日本酒の出展エリアにはかなり多くの人々が立ち寄っていました。日本酒はシンガポールでもとても人気が高く、既に多くの銘柄が扱われています。一緒に参加したシンガポール人の友人が来場した目的も日本酒の試飲と美味しい日本酒をリーズナブルな値段で購入することでした。私は日本酒にはあまり詳しくはありませんが、まだ、シンガポールでは見たことが無いお酒も出展されていました。

 日本酒以外にも焼酎や梅酒などの他のアルコールも数は少ないですが扱われていて、別のシンガポール人の友人はウィスキーで仕込んだ梅酒を「珍しい!」ということで購入していました。シンガポールでも梅酒は手に入りますが、日本のようにベースのお酒が様々なものであるという具合にバラエティが豊富ではないので、お酒が好きな人にとっては珍しいものを見つけたという感覚でとても嬉しかったようです。

 また、食品関連ブースでは和菓子を紹介する企業がいたり、鮮魚や和牛を持ち込み来場者に無料で振舞う企業がいたりと様々でした。おすしや和牛焼肉などは早々に売り切れていて、私がブースを訪れた夕方には既に、何も無かったところが多かったです。また、特に来場者の多くが立ち止まっていたブースのひとつが、八天堂です。カスタマイズできるクリームパンを販売していました。フルーツやソースを好みで選べるタイプのものは、1つ5ドル(約450円)と決して安くはないと思うのですが、常時、購入待ちの長い列が出来ており、見本市終了の時刻まで人が途切れていませんでした。こちらのお店はOishii Japanの直後、数日間ショッピングモールで期間限定の売り場を設けていたりもしました。

写真(2)

 私はとても成功した見本市ではないかと感じた一方で、事業者向けの前半2日間に訪れた、シンガポールの食品流通業や飲食店経営者の友人の中には、「出展者がまだ、海外展開を実際に出来るほど準備が出来ていない。」「海外展開を目指すのであれば、輸出方法など必要な知識をもう少し勉強すべきではないか。」という厳しい意見をする人もいました。今回の出展企業は大手企業は少なく、中規模以下の企業が多かったので、こうした企業にとっては海外展開をする上での情報が不足しているのだなと感じました。

 とはいえ、今回、一般消費者として参加した私は、色々な食材を一度に楽しむことが出来たので大変満足して帰宅しました。そして、シンガポールの人やその他の外国人の方の日本食への関心が非常に高いことを改めて認識できたいい機会となりました。

それではまた、来月!

この記事を書いた執筆者

山田陽子日本茶アンバサダー

山田陽子(やまだ ようこ)

大学卒業後、日本で就職するも海外での就業の希望が諦められず、2011年末に一念発起し単身でシンガポールへ。現在、在住4年目。言語や文化の違いに戸惑いつつも、ローカルの友人にはJapanese Singaporean と言われる程、馴染んで楽しく暮らしています。昔から、家では日本茶を飲む習慣があり、日本の美味しいお茶を海外にも広めたいと思い日本茶アンバサダーとして活動することにしました。日本茶だけではなく中国茶や東南アジアのお茶文化のレポートも出来ればと思っています。