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狭山茶楽々なお話vol.21「秋の山梨お茶どうぞ」

2019.11.25

朝晩の冷え込みが厳しくなり、木々の色づきが青空に映えて眩しい季節となりました。
四方を山に囲まれた山梨は、雪を頂いた山々を彩る紅葉を楽しむことができます。
さて、この季節にしか味わえない山梨の銘菓をご存知ですか?私が山梨の放送局のアナウンサーになり、初めに教えてもらった甲州銘菓は「月の雫」でした。真っ白な宝石のような球体。山梨の特産フルーツ「甲州ぶどう」が生のまま一粒、お砂糖の衣に閉じ込められています。

 

 

甲州ブドウが採れる時期しか味わえないこの銘菓は、毎年ブドウの収穫時期にのみ製造されるということで、「月の雫」発祥の老舗「松林軒豊嶋家」を訪ねました。
Vol.9でご紹介した「山梨の老舗和菓子屋さんが開いたカフェ」松林軒豊嶋屋です。

 

 

甲州銘菓「月の雫」は明治10年の秋、松林軒三代目店主が砂糖蜜を練っている時に、そばにあった葡萄の房から一粒偶然転がり落ち、拾い上げておいたところ葡萄にかかった蜜が冷えて白く固まり、広大な葡萄畑に降り注ぐ月の雫のように見えたことから生まれたといいます。松林軒豊嶋屋が商標権を持っていたものの、山梨県の銘菓として育てたいという思いから、五代目店主が権利を開放し、明治時代から歴史をまたぎ山梨県の銘菓となっていったそうです。

 

 

溶かしたザラメに新鮮な葡萄を一粒一粒落としては拾い上げ、落としては拾い上げるという手作業を繰り返し、純白の宝石のような「月の雫」を完成させるそうです。

 

 

一口サイズの「月の雫」をほおばると、砂糖がカリッと割れて甘みが広がり、次の瞬間ブドウの酸味が甘さに交わり絶妙なバランスで引き締めてくれます。幸せが口に広がりました。

 

 

今回は月の雫の姉妹品として昭和3年に発売された「桂乃露」もいただきました。こちらは甲州ブドウを一粒ずつ求肥で包み砂糖をまぶしたもので、モッチモチの食感にブドウの酸味が爽やかな秋の風を吹かせてくれるようでした。

「月の雫」「桂乃露」ともに、今年は来年1月末まで味わえるそうです。

 

 

六代目鈴木伸吾さんが忙しい手を止めて対応してくださいました。

この時期だけしか味わえない銘菓を堪能していたら、やはりこの時期だけの「芋羊かん」を見つけてしまいました。スプーンで食べられる手作り「芋羊かん」。気になってお土産に購入。埼玉出身の私、特産のさつまいもに目がないのです。やはり秋だけしか味わえない緑茶とともに味わいたいなと思い、山梨の銘店「山根園」の「蔵びらき緑茶」と一緒にいただきました。

 

 

摘みたての新茶を瞬間冷凍し、夏を越した後に独自の製法で風味豊かに仕上げたという八女茶です。茶葉からは新茶のように華やかな香りが感じられました。

 

 

飲んでみると、風味も豊かで、春のエネルギーを貯めに貯めて、秋を待っていましたとばかりに深い味わいです。紅あずまそのものの甘さを生かし、滑らかでしっとりとした口当たりの芋羊かんと共に、秋を味わうのに最高の組み合わせとなりました。

山梨の広大な自然に囲まれて、日本茶と和菓子で秋を愛でる幸せをたっぷりと味わう、お取り寄せも良いけれど、ぜひこの地で堪能して欲しいと思いました。

 

松林軒豊嶋屋国玉店
山梨県甲府市国玉町295-1
055-233-3555
火曜定休 営業時間9時半から17時

山根園
山梨県甲府市丸の内2丁目16-18
055-224-3555
日曜定休 営業時間9時から19時

 

 

《これまでの記事》
●vol.1_春にぴったりのお茶
●vol.2_緑茶・美容活用法
●vol.3_日本茶は弱った時の強~い味方!
●vol.4_山梨の日本茶カフェを訪ねました
●vol.5 cafe Terroir/茶楽
●vol.6 幻の日本紅茶☆@Mofu Mofu
●vol.7 「お茶屋さんが手作りする抹茶生チョコレート」
●vol.8 『山梨銘菓「くろ玉」のできたてを味わえるカフェ』
●vol.9「山梨の老舗和菓子屋さんが開いたカフェ」
●vol.10「新茶を楽しむ♪」
●vol.11「幻の雨畑茶を訪ねて」
●vol.12「日本茶が国際交流の懸け橋に!」
●vol.13 「新春は純白の茶器でお茶どうぞ」
●vol.14 「金(きん)をとりに行って、キンのお茶に出会う」
●vol.15 「知る人ぞ知る新茶まつり」
●vol.16 「狭山茶畑でお茶娘体験」
●vol.17 「秋の甲州・茶トリップ」
●vol.18 「山梨県立芸術の森の初釜へ茶トリップ」
●vol.19 「新茶の季節が待ち遠しい狭山茶ケーキとの茶縁」
●vol.20「甲州茶トリップ・大盛況の新茶祭り」

この記事を書いた執筆者

鈴木春花日本茶アンバサダー

鈴木春花(すずきはるか)

フリーアナウンサー。元テレビ山梨アナウンサー。ニュースキャスターをはじめ様々なジャンルの番組を担当。 フリー転身後も、TVやラジオ、イベント司会や講演会など活動の幅を広げている。銘茶「狭山茶」の産地・埼玉県所沢市に生まれ育ち、幼い頃から常飲。アンバサダーエッセイ「鈴木春花の狭山茶楽々(さらら)なお話」を連載。
☆「日本茶アンバサダー鈴木春花のお茶どうぞ」インターネット放送局JKNTV放送中!☆