ENJOY!日本茶

ホーム
コラム
> 清水加奈『かぶせ茶農家のひとりごと』vol.9 『新茶無事終了』

清水加奈『かぶせ茶農家のひとりごと』vol.9 『新茶無事終了』

2017.06.10

皆さんこんにちは!
2017年の新茶、もうお楽しみいただきましたか?皆さんのお気に入りのお茶、今年のお味はいかがでしたか?

わが家も4月28日から始まった新茶の刈りとり、5月27日に無事終了いたしました!!
なんと今年は1ヶ月もの間、新茶を刈り加工をしていました!!
というのも、今年は梅や桜が遅かったように新茶もなかなか大きくならず、効率より質を考え前半はゆっくりとかぶせ作業をしておりました。新芽の成長に合わせて後半は急ぎになったのですが。。。
こんな風に一度に2畝かぶせる技もあるんですよ。

1

14日間かぶせ、光合成を抑えて甘みを引き立てます。

2

昨年より操業始めたわが家の『お茶こうば』は90kgラインという比較的コンパクトな製茶加工施設のため、単一茶園・単一品種でお茶刈りをし、加工をしていきます。
5月3日には『さえみどり』5月4日には『さえあかり』品種のかぶせ茶ができました!!

3-1

実はわが家、現在10品種のお茶を育てています。やぶきた、てらかわわせ、つゆひかり、さえあかり、さえみどり、そうふう、さやまかおり・・・・。品種についてはまた今度ゆっくり書かせていただきますね。

5月5日には約40人の摘み娘さんに来ていただき、品評会出品用の手摘みをしていただきました!

4

今年も良い結果を祈っています。
GW明けからは、来る日も来る日もネットをはずしては刈りとり加工をするのくり返し。
ひたすらかぶせ茶の新茶を作ることに没頭です!

5-1

茶農家の5月は本当にあっという間です!!
とにかく自然相手なので新芽の成長は待ってくれません。少しでも良いタイミングで刈りとって良いかぶせ茶に仕上げたい。ひたすらこの想いで作業をしていきます。睡眠も短くなり体力も限界になります。

新茶の刈りとりをすべて終えた今、新茶のできももちろん気になりますが、事故なく無事に終えられたことにほっとしています。
実は先日、私の幼馴染でもありかぶせ茶仲間の大切な親友が、製茶作業中に製茶機械で右腕を骨折してしまいました。今は復帰に向けてリハビリを頑張っています。
これまでにも指を挟んでしまい骨折や、切断といった事故も聞いたことがあります。
新茶時期の茶農家の労働は、一気に集中してしまうことから緊張が続き、疲労や焦りから事故やケガにつながることもあるのです。

少し重いお話になってしまいましたが、お茶農家の誰もが、少しでも良い新茶になるようにと一生懸命です。どうか、丹精込めて作り上げた新茶、思う存分お楽しみください!

一番茶(新茶)がひと段落すると、もう今月末には二番茶です!お茶農家はまだまだ忙しい日々が続きます。
 

《これまでの記事》
●vol.1三重の茶畑からこんにちは
●vol.2 へぇ~、三重県お茶事情。
●vol.3 かぶせ茶の楽しみかた
●vol.4 「ようこそ!かぶせ茶カフェへ」
●vol.5 「冬の茶畑と茶農家」
●vol.6「ise-chaのある生活」
●vol.7 「お茶植え」
●vol.8「新茶2017」

この記事を書いた執筆者

清水加奈

清水加奈(しみずかな)

三重県の専業茶農家(有)マルシゲ清水製茶の長女に生まれ、幼い頃から跡継ぎとして育てられる。25歳の頃結婚と同時に就農。2010年に1人でも多くの方に三重のかぶせ茶を知ってもらい、ファンになってもらいたいという想いから『かぶせ茶カフェ』を開業。農業女子プロジェクトメンバー、四日市茶農家女子会メンバー、茶育指導士、二児の母。
★マルシゲ清水製茶HP: http://marushige-cha.jp/