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清水加奈『かぶせ茶農家のひとりごと』vol.21 『一番茶終了!!そして二番茶』

2018.06.14

あっという間に6月になり、気がついたら梅雨に入りましたね~!この時期お茶農家は毎日が過ぎるのが早い早い。
5月29日、わが家も無事に新茶、一番茶の刈り採りが終わりました!今年は長かった~!!例年の39%増の収量だったため、加工にも時間がかかりました。品質もまずまずということで、まずは事故やケガなく終えられたことにほっとしています。
そんな日々も束の間。もう来週からは二番茶が始まります!わが家は6日から、かぶせ茶の覆いをかぶせる作業がスタートしました。

 

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一番茶、二番茶なんて言ってますが、私が住む三重県の茶農家の多くは1年に3回お茶を採ります。地域や茶農家さんによっても違いますが、わが家は4月下旬~5月に一番茶(新茶)、6月下旬~7月中旬に二番茶、9月下旬~10月中旬に三番茶(秋番茶)を採ります。今は一番茶と二番茶の間というわけです。

さぁ、一番茶終わったし二番茶までゆっくりしようかと言いたいところですが、、、そうはいかないのがお茶農家(笑)茶園ではまさに時間との勝負で色々な作業を行っています。
まずは「刈りならし」。

 

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一番茶を刈り取った約2週間後位に、もう一度摘採機で刈ります。この時は刈るだけで採りはしません。これは新茶を刈り採った時に、遅れてしまった芽やのがしてしまった芽などが大きくなって、次の二番茶の新芽に混ざるのを防ぐためです。品質向上につながりますね。
次に肥料をあげます。
かぶせ茶の茶園は14日以上、長い茶園では1ヶ月近くも覆いをかぶされ、日陰にされているためお茶の樹が弱っています。また刈り採りは新芽は種子ではないので、手や足を切られている感じですよね。弱っていると病気にもなりやすくなるため、肥料をあげて元気にしてあげます。すぐに二番茶が始まるので、この頃はなるべく早く効きめがある即効性の肥料をあげるようにしています。
そして「すそ刈り」。
実は私若い頃、この作業が大好きでした。すそ刈りとは、茶の樹のすそ部分、畝と畝の間の人間が入って作業をする道を空けるため、茶の樹の下のほうの要らない枝を切ってしまいます。かぶせ茶は覆いをかぶせたら、なるべく下のほうの枝に覆いがずれないように紐をくくりつけなければいけません。すそ刈りをしておくと、この作業もしやすくなります。
他にも、この時期は雑草が生えやすかったり、ダニが発生しやすくなる時期ですので、適宜防除なども行います。
それでも、一番茶を刈り採った時点で明らかに弱っている茶園は、、、「刈り落とし」ちゃいます!

 

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(インターネット画像検索より)

 

葉は横に少し残っているくらいまで、刈り落としてしまいます。この画像を見て驚かれる方もいるかも。かわいそ~とか大丈夫?という声も聞こえてきそう!大丈夫、お茶の樹はそんなにヤワではありません。実はコレ、お茶の樹を休ませてあげているんです。もちろんこの後の二番茶は採れません。これをすると元気になるんですよ!刺激を与えるというか愛のムチ的な感じでしょうか。今はボウズになっちゃいましたが、10月頃には収量は減りますが、ちゃんと秋番茶も採れますよ。ボウズの茶園を見つけたら、一軍で頑張ったから、二軍で充電中だなと思ってあげてくださいね。
そして、忘れてはいけないのが機械や、工場の修理やメンテナンス。二番茶に向けて万全の体制にしておきます。

このように茶園のほうも、一番茶が終わっても大忙し。
15日からは二番茶の刈り採りも始まり、二番茶はかぶせておく期間が1週間と短いため、同じ時期にかぶせ作業と、お茶刈りをしなければなりません!そして梅雨時期の雨と湿度との闘い。
二番茶は色々と大変ですが、何とか乗り越えて楽しい夏休みを迎えようと思います!
頑張ります!!

 

《これまでの記事》
●vol.1三重の茶畑からこんにちは
●vol.2 へぇ~、三重県お茶事情。
●vol.3 かぶせ茶の楽しみかた
●vol.4 「ようこそ!かぶせ茶カフェへ」
●vol.5 「冬の茶畑と茶農家」
●vol.6「ise-chaのある生活」
●vol.7 「お茶植え」
●vol.8「新茶2017」
●vol.9 『新茶無事終了』
●vol.10 『夜のお仕事』
●vol.11 『かぶせ茶氷』
●vol.12 『お茶の品種』
●vol.13 『秋番茶刈り採り中です!』
●14 『滋賀 信楽朝宮へ行って来ました!』
●15 「冬仕事とみえセレクション」
●16「JGAP認証」
●17『四日市イベント@三重テラス』
●18『道の駅 みなみやましろ村』
●19『お茶苗植え 2019』
●20 『新茶 2018』

この記事を書いた執筆者

清水加奈

清水加奈(しみずかな)

三重県の専業茶農家(有)マルシゲ清水製茶の長女に生まれ、幼い頃から跡継ぎとして育てられる。25歳の頃結婚と同時に就農。2010年に1人でも多くの方に三重のかぶせ茶を知ってもらい、ファンになってもらいたいという想いから『かぶせ茶カフェ』を開業。農業女子プロジェクトメンバー、四日市茶農家女子会メンバー、茶育指導士、二児の母。
★マルシゲ清水製茶HP: http://marushige-cha.jp/