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岐阜のお茶旅 vol.16_天空の茶園で茶の実油の魅力を伝える 春日乃売茶翁

2018.10.17

 

「岐阜のマチュピチュ」と呼ばれる揖斐郡揖斐川町春日六合にある上ヶ流(カミガレ)茶園は標高330mの清々しい山の中にあります。昔から農薬不使用で美味しいお茶を造っています。昨年この地に移住した山田泰珠(やまだ たいじゅ)さんは、茶の実から採る「茶実油」の魅力を多くの人に広め、伝えています。

8月に名古屋の「星が丘テラス」で、山田さんが主催するワークショップ「茶の実の油を絞ってみよう」が開催されました。農薬不使用の春日の茶の実を絞り日本ミツバチのミツロウでバームに仕上げます。写真中央の円形の器に入っているのが、天日干しされた春日の茶の実です。

 

 

講師の山田さんは、岐阜、名古屋を中心に様々な会場やマルシェで、茶実油を広めるワークショップを積極的に開催しています。

 

 

茶実油とは。(山田さんの資料より抜粋)
ツバキ科ツバキ属チャノキの種子を搾って採る油脂。
主成分はオレイン酸とリノール酸。
ツバキ油やオリーブ油に似ていますが、ビタミンE含油量がオリーブ油の5倍、ツバキ油の2倍。ビタミンEの抗酸化作用、過酸化脂質になりにくいオレイン酸の作用により、健康と美容の効果が期待でき、食用や化粧品として使用されます。
茶実油は保湿性や皮膚の傷の修復、抗菌性、殺虫作用、抗アレルギー作用、抗炎症作用、糖尿病予防など、様々な効用が期待できる注目すべき油です。
春日の茶実油は地域全体が農薬不使用で茶を栽培していることから、茶実栽培としても最高の環境で作られます。低温圧搾法で搾られた高品質の茶実油です。

 

 

搾油の準備です。天日干しした茶の実をミキサーで粉砕します。

 

 

山田さんが用意して下さった手動の圧搾機です。機械の上にあるハンドルを回して油を絞ります。圧搾機の背景のパネル写真は、春日の茶の実と、茶の木の花。茶の木をじっくりと見たことがない人や、茶摘みシーズンの茶の木しか知らない人にとっては、興味深い写真です。

 

粉砕した茶の実を圧搾機のホルダーにセットして、じっくり、ゆっくり、油を絞ります。美しい黄金色の油です。

 

 

100kgの茶の実から、わずか1ℓしか取れない貴重な油です。

 

 

絞った油にミツロウを加え、湯煎にかけて溶かします。

 

 

フェアートレードのオーガニック・エッセンシャルオイルで香りを加え、容器に移します。しばらくすると油が固まり、バームが出来上がります。

搾りかすに水を加え撹拌すると洗剤が出来上がります。

山田さんは茶実油を多くの人々に伝える「茶実油エヴァンジェリスト」として、日本茶アドバイザー、アロマテラピーアドバイザーの資格も持ち、幅広い知識を基に、これからの春日の茶園のあり方を見据えて活動しています。

山田さんはサラリーマンを経験後、ご両親の故郷、揖斐川町に移住し、茶実油で春日の美しい茶園を守っていきたい。元気にしていきたいと願い、活動しています。時代の流れとともに、茶農家の後継者不足で耕作放棄された茶畑が増える中、手入れされない茶の木は伸び、花が咲き、実がなる。この茶の実から素晴らしい茶実油が採れるのです。

秋に茶の木はツバキに似た白く可愛らしい花が咲き、実をつけます。10月に入ると茶の実の収穫シーズンがやって来ます。山田さんは茶の実の収穫や茶園の手入れを手伝ってくれるボランティアスタッフを募集しています。地域の人々とふれあい、清々しい山の空気に包まれた天空茶園を体で感じ、茶の木に触れる。お茶、茶実油の事を身近に感じる事ができる素敵な体験を、多くの方と共有していきたいと願っています。茶の実の収穫をお手伝いしたい方は、ぜひ、春日の茶園に足を運んでみてはいかがですか?

山田さんは、茶実油やバーム、化粧品、春日の在来種の日本茶などを販売するサイト「春日乃売茶翁」を立ち上げ、販売の幅を広げています。
いつまでも、春日の天空茶園が美しく、潤う茶園でありますように。

ワークショップのご案内
「ぎふ・春日 天空の茶園で 茶の実を絞ってみよう!」
茶実油搾油+バーム作り体験
体験料金 おひとり2700円 二人以上のグループはおひとり2500円
「天空の搾油所」 遊歩道入口から徒歩5分 旧春日民俗資料館
岐阜県揖斐郡揖斐川町春日六合1425‐1
お問い合わせ、ご予約はお電話でお願い致します。090-2560-7145

 

 

《これまでの記事》
●vol.1_見渡せば、山、山、山。山の中の岐阜のお茶
●vol.2_清らかな山の恵み。美しい村、東白川村のお茶
●vol.3_美濃白川茶発祥の地に残る いにしえのお茶
●vol.4_東白川村 昔ながらの秋のお茶
●vol.5_東白川村 五加(ごか)地区の無農薬の茶畑で・・・・。
●vol.6_郡上八幡の人々が愛する美味しいほうじ茶 田中茶舗
●vol.7_宗祇水に導かれて・・・お抹茶処 宗祇庵
●vol.8_郡上八幡 第13回 小那比茶 茶摘み・茶もみ体験
●vol.9_美濃焼の旅 土岐市 織部の日のお茶会
●vol.10_西美濃に銘茶あり 美濃いび茶 茶山正
●vol.11_尾張名古屋のお抹茶ワールド お茶と抹茶スイーツの店 茶縁
●vol.12_岐阜のマチュピチュ 天空の茶畑
●vol.13_有楽苑 国宝茶室 如庵  愛知県犬山市
●vol.14_Barスタイルで夏の白川茶を楽しむ。 カガミガハラ・スタンドで東白川村のお茶イベント
●vol.115_清らかな山の緑風が香る白川茶 東白川村 茶広農園

この記事を書いた執筆者

平林典子日本茶アンバサダー

平林典子(ひらばやしのりこ)

「Lacue チーズ・お茶・ワイン」の教室を運営。セミナーやイベントを開催。煎茶道黄檗松風流師範。チーズプロフェッショナル(CPA認定)ソムリエ(JAS認定)中国茶インストラクター(ロ・ヴー認定)茶道の季節を愛でる思いを大切に、気軽に楽しく、美味しく、自由な発想でお茶を楽しむ教室やお茶会を開催しています。