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「日本茶アンバサダーレポート山田陽子inシンガポール」Vol.15

2017.02.27

こんにちは。シンガポールの山田陽子です。
1月28日が旧暦の元旦、いわゆるチャイニーズニューイヤーだったため、シンガポールは2月中旬まで新年の雰囲気であふれていました。このチャイニーズニューイヤーの雰囲気に合わせて、日本では現在のカレンダーの新年に服す習慣のある「大福茶」をシンガポールの友人に紹介するイベントを行いました。「大福茶」については日本茶アンバサダー協会代表理事の満木さんが日本茶アンバサダー向けに事前に仕込んでくれたアイディアを真似させてもらい、日本茶をシンガポール在住の多くの人に知ってもらう機会に活用しました。

お茶好きの皆様はご存知かも知れませんが、「大福茶」について簡単に紹介させてください。今から1000年以上遡る平安時代、村上天皇の治世に疫病が流行しました。その際に、空也上人が大ぶりの茶碗に梅干を入れたお茶をふるまったところ疫病が下火になり、その後村上天皇が正月元旦に同じお茶を服して人々の無病息災を祈ったということに由来している習慣です。その後、一般の人々も新年に梅や昆布などの縁起物をお茶に入れた「大福茶」を服し、一年の無病息災や幸福を祈るという習慣が京都地方を中心に残っています。

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この「大福茶」の習慣を知ってもらうと共に、日本茶の美味しい淹れ方をシンガポールの方々に伝えたいと思いイベントを企画しました。当日はシンガポール人、ドイツ人、中国人、日本人の合計8名の方に集まってもらい、自分好みの「大福茶」をご自身で作って飲んでもらいました。日本人の方は「大福茶」を知っているかなとも思いましたが、どなたもご存知ではなかったので、興味を持っていただきうれしかったです。

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縁起物として用意したのは、梅干、結び昆布、大豆、あられ。日本茶は深蒸し煎茶、玄米茶、ほうじ茶を用意しそれぞれ好みの縁起物を好みのお茶に入れて飲んでもらいました。日本茶を美味しく入れるためのポイントとして、茶葉の量、お湯の量、そしてお湯の温度をお伝えして実践してもらいました。湯冷ましをしてお茶を入れるという、中国茶や紅茶などでは無い習慣が外国人の方には「日本的」と感じられたようです。人気のお茶は玄米茶とほうじ茶で、理由はよりマイルドな味が好みという人が多かったです。そして驚いたのが、梅干を食べない人が多かったことです。特にシンガポール人にとって梅干は料理の際の臭みとりや味付けに使われるものなので食べるのに抵抗があるようでした。私は中華系のお魚料理に入っている梅干も食べてしまうくらいなのですが、確かに一緒に食事をしていたシンガポール人は食べていませんでしたね。「日本の梅干は全くちがうのよ~。」と言いたくなってしまいました。梅干も日本の食材として輸出すれば人気が出ると思いましたが、うまくブランディングしないと受け入れられない可能性があるなと思いました。

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イベントの最後にあまったお茶を持って帰ってもらい、家でも飲んでほしいなと思ったのですが「家にティーポットが無い」という人が結構いて茶葉の売れ行きが悪かったです。。。急須にこだわらず、紅茶用など、どんなポットでもいいのよと淹れ方の説明時に話しましたが、家庭によってはお茶を茶葉から淹れる習慣の無い人も多いようで、ティーポットなしでも淹れられる方法として茶漉しやお茶パックでの淹れ方も紹介すればよかったなと次回に向けての反省点も見つかりました。

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それでは、また次回!

 

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この記事を書いた執筆者

山田陽子日本茶アンバサダー

山田陽子(やまだようこ)

大学卒業後、日本で就職するも海外での就業の希望が諦められず、2011年末に一念発起し単身でシンガポールへ。現在、在住4年目。言語や文化の違いに戸惑いつつも、ローカルの友人にはJapanese Singaporean と言われる程、馴染んで楽しく暮らしています。昔から、家では日本茶を飲む習慣があり、日本の美味しいお茶を海外にも広めたいと思い日本茶アンバサダーとして活動することにしました。日本茶だけではなく中国茶や東南アジアのお茶文化のレポートも出来ればと思っています。